「桜よ、今日は喪の色に咲け。」
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[9]前 最初
た。
取り皿の醤油の中に
俺の血が滴り落ち、
混じって行く…。
「出ていけ。」
「ちょっと、靖夫さん、」
「黙ってて下さい、
おい、ゆう! 出ていけ。」
妹が泣き出すのが
合図の様に、俺は家を出た。
…以来、
実家に帰れない日々が、
続いている…。
…女の子と付き合う時、
必ず言う事が有るんだよ。
「俺、マザコンだよ。」って。
お母さんごめんね。
悪い子でごめんね。
又、貴女の亡くなった
季節が来ました。
…覚えていますか…。
俺と、みーが小さい頃、
いつも散歩に行った、
大きな桜の木の公園。
俺がその桜の木に登ると
下から貴女とみーが
すごいすごいって。
貴女の頭の上に、
ちょうど毛虫が落ちて、
貴女は子供みたいに
大声を出して、
俺が取ってあげたっけ。
…ハラハラと舞散る、
あの桜の木の下で、
今年も俺は、僕は…、
…貴女に、謝る。
悔やみきれない想いを、
桜に八つ当たりして。
…なあ、桜よ、お前、
今日はね、
特別な日なんだよ。
だからね、
今日は、
今日だけは喪の色に咲け。
…舞い散る、
桜の花びらの中で、
俺は貴女に語り掛ける。
そして…、
…いつか…、
貴女に又会えた時、
俺は貴女を抱き締めて、
貴女の耳元で、こう言うよ…、
「ママ、大好きだよ。」
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