「桜よ、今日は喪の色に咲け。」
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…。
だるそうに
夕飯の支度をする母親…。
いつも綺麗だった筈のリビングは
近頃は散らかり捲りだ…。
「何だよ、みー、居たのかよ?
しっかし、汚ねー部屋!!
おい何か食うもんねーのかよ?!」
「ちょっと!ゆうちゃん、
ママはね、体の調子が…、
少しは考えてあげてよ?」
俺を怖れて遠慮がちに妹が言う、
「はあ?!なら、みー!
お前、なんか作れよ!!」
「…いいのよ、みーちゃんは
テスト勉強しなさい?
…ママがやりますから。」
俺がグレ出してからも
努めて明るく
振る舞っていた筈なんだが。
近頃はいつも寝てばかり、
家、散らかってんじゃん。
…妹は勉強と
部活に忙がしくて、
あいつも近頃、家の事は、
…………。
…妹が部活の春の合宿中、
俺は、ほとんど家に帰らず
連れの家を渡り歩き…、
ある晩、金が無くなって、
家に戻った。
…玄関入るなり怒鳴り付けた。
「やい!金が無くなった!
小遣いくれや!!」
「やい!お袋!!おい!!!
…寝てんのか??」
リビングのドアノブを回す時、、
…すごく
違和感が有ったんだ。
妙な胸騒ぎとドアノブの
変な重さ…。
外開きのドアを自分の方へ
引っ張った、重い…。
何か付いて来る????
「…お、お袋?!!!」
…何が起こってるのか
理解し難かったが、
無理矢理に理解しようと努めて、
それでいて妙に冷静な頭の中…。
(…今から救急車呼べば
間に合うのか?)
(ドアノブでも首が吊れるんだな、
こんなに低いのに。)
(ちゃんと喪服に着替えたんだ。
…お袋らしいわ…。)
…それからの事は
あまり覚えていない。
警察が来て調べて、
何か色々聞かれて
上の空で答えて…、
妹の泣きじゃくり状態は
見るに耐えなかった。
妹は母親の死を
自分のせいにしたから。
…違うよ、みー…、
俺の、、、、
お兄ちゃんのせいだ。
お前のせいじゃないよ。
…自殺だから、
葬儀は密葬だった。
近隣は勿論の事、
母親の友人にも知らせずに。
…葬儀の夜、
親父と俺と妹、
それから、おばさん達、
つまり母親の姉と妹…、
…無言で食事を…、
いきなり親父が立ち上がり
俺に灰皿を投げつけた。
ガラスの灰皿は
俺の額の皮膚を破り、
大きな音をたて床に落ち
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