第16話 代わり
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らだな」
木山は車の速度を落として、離れた場所で停車した。
アンチスキルは、拡声器を持ち自車に籠城している木山に呼び掛ける。
『木山春生だな』
ご丁寧に警備ロボや防弾盾を用意している。
『レベルアッパー頒布の被疑者として拘留する。直ちに降車せよ』
「どうするんです?年貢の納め時みたいですよ」
運転席でハンドルに寄りかかっている木山に向けて初春が様子を伺いながら言った。
アンチスキルと初春の主張をある程度聞き終わった所でハンドルを掴んでいた腕に力を入れて身体を起こす。
「レベルアッパーは、人間の脳を使った演算機械を作るためのプログラムだ。だが、同時に......使用者に面白い副産物を齎す物でもあるのだよ」
車を降りて、向けられる銃口の気配を全身に浴びながら木山は良く云えば素直に、悪く云えば白々しく指示に従った。
「拳銃を携帯している模様。人質の少女は無事です」
武器の有無を特殊な双眼鏡で確認する。
木山の行動、腕を上げた事で少しの油断が生じた。
『確保』
拡声器からの合図が出ると数人のアンチスキルが銃口を突きつけたまま木山ににじり寄りだす。
しかし、木山は意識を徐々に変えていき、自身の能力を解放していった。
能力の影響か眼は徐々に真っ赤に染まっていく。
視線の先にはアンチスキルが向けている銃。
更に集中して銃の先端を見ると、勝手に持ち手を起点に回転するように動き出し、周囲を固めている仲間を撃ち始めた。
「!?貴様、一体何を...... 」
前を歩いていた仲間二人の背中に当たり、防弾チョッキを着ているが衝撃を受け流すことが出来ずに前のめりに倒れた。
「ち、違う!オレの意志じゃない!銃が勝手に......ッ!」
注意が誤射した隊員に向いた瞬間に木山は別の能力を解放していく。
車に乗っている初春の目には驚愕の事実が飛び込んできた。
木山の突き出した掌を中心にうねるような光の玉が発生し、アンチスキルの部隊を狙うように笑った。
「バカならわ!学生じゃないのに...... 能力者だと!!?」
一斉に避難を開始するが放出したエネルギーの塊が高速道路上で爆発し凄まじい爆風に周囲が吹き飛ばされた。
車が跳ね上がりそうになるほどの衝撃と爆音が劈く中で初春が目を開けると車の前に黒い壁が出現していて、衝撃から初春を護るように囲っている。
壁のすぐ近くには、黒い外套を身に付けたサソリが道路に手を置いていた。
「さ、サソリさん!!?」
何処から現れたのか疑問に思ったのか、初春は周囲を見渡すがサソリがここに居る事実を明確に説明できるものはなかった。
「お!大丈夫そうだな」
ガラス越しに初春の無事を確認するとサソリは立ち上がり、立ち昇る白煙の中に身を投じた。
衝撃をモロに喰らったアンチスキルは、車の後
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