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バーチスティラントの魔導師達
決着
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込める。
「…とにかく、落ち着いたら部屋から出て来いよ。レリーには極力会わせないように手配は……、」
「しなくてもいいわ。そんな気遣い、いらない。」
青年と少年が、同時に顔を上げる。声の主は、いつもの仏頂面をしている金髪の少女であった。
「レリーおまっ……、雷だけは落とすなよ…。」
ちょっと心配そうに青年が声をかける。が、それは文字通り青年ごと一蹴りされた。
「アレン。………まずは、助けてくれてありがとう。」
「……どういたしまして。」
「それと、もう一つ。…………あなたこそ、何も悪くない。」
「なっ……!!」
なんで、と言う前にそれに被せるように少女が続ける。
「あなたはこの戦争で、いえ、これまで、誰一人として『自らの手で』人を殺めてはいない。お母様やお父様は不可抗力であっただけ。あれは、言い換えれば幻書が2人を殺した。…第一、あなたは戦争に参加していない。」
「……。」
「誰も殺していないのに、むしろ私を生かしてくれたのに、どうしてあなたが塞ぎ込むの。なぜあなたが悩むの。」
そう言うと、彼女は屈んで弟を優しく抱きしめた。そんなことなどされたことがない少年は硬直し、「姉さん…?」と不安そうに尋ねた。
「私の方が重罪よ。何百人も何千人も人間を殺め、唯一の身内には姉らしいこともしてあげられていない。おまけに、仲間であるはずの魔導師たちからの信用は薄い。……あなたは違う。」
「…違う、姉さんは、ちゃんと僕の姉さんだよ……。」
「でもあの日。お母様に操られていたとはいえ、私を引き留めようとするあなたに目もくれなかった。姉さん、と呼ぶ声がしても、私はあなたを避けた。この行動のどこが姉らしいのよ。」
ぎゅっと一度強く抱きしめ、頭を軽く撫でてやる。そして彼女は、離れて僅かに微笑んだ。
「私はあなたを恨んではいないわ。立ち直ったら、また、あなたの作るお菓子を食べさせてちょうだい。」
「…!」
「……ウィル、あなたいつまでそこにいるの。さっさと行くわよ。」
「お、おう……。いや、兄弟愛ってすげぇなってちょっと感動したぜ…。」
「柄にもないことを言わないで。」
「ひっでーなぁ!」
言い合いながら去っていく2人を見て、少年は立ち上がろうとした。その時何か小さいものが走ってきて、体当たりをした。
「わっ……、ユイ。ごめんね、ずっと無視して。」
その言葉に少女は首を振った。そして、
「ありがとう、わたしをおいだしたりしなくて。」
珍しく口を開いた。
「……そんなことしないさ。ユイはいい子だから。」
「…………。」
少年は静かに少女を抱きしめ、そして立ち上がり手を引いた。
「もう、大丈夫。……ねえ、今日のおやつは何がいい?」
「…!」
少女は微笑む少年に、思わず、そして初めて微笑んだ。
「………………………アップ
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