狐珀アマルティア
悲しき現実・付けられた名
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。
まるで殺人鬼のいる難攻不落な迷路を歩いているような恐怖に陥った。
「・・・」
先程までの怒号を発するような雰囲気は何処へやら、冷酷であり、怒りを、殺意を凝縮したような瞳を維持した状態で発砲した隊員の目の前まで一瞬にして移動する。
そんな至近距離ではマシンガンを発砲することは出来ず、剣を抜くことも不可能な程の至近距離、成す術を無くしていた。それは、周りに居た隊員も同様、出来ることが無かった。精霊を発砲した筈が、流れ弾で同じ隊員に被弾するかもしれない。
「お前・・・死にたいか?」
ふと、その言葉が、隊員の耳に入り、脳内を飛び回る。
「・・・」
「精霊と対話・・・したくないか・・・じゃぁいい・・・強欲怪物」
血塗られた眼を見開くと同時に、再び悪魔の名をポツリとその口から漏れる。
それと同時に、真後ろに狐珀の怒りで巨大化したのであろうその漆黒の羽が今までの2倍はゆうに超える程の大きさに変わり、周囲へ鴉のような羽根をまき散らす。その巨大な羽は一つ一つがナイフのように鋭くなり、目の前の隊員に向かう
ようやく、目の前の隊員が恐怖に気づき、身震いし始めた。
その真逆に回りにいた隊員達はようやく冷静を取り戻し、皆一斉に剣を取り出し、スラスターの出力を最大限にし、まるでロケットが飛ぶ時のように高速で空を切り、急接近する
「・・・守れ」
命令にも聞こえるその声と共に、先程数秒構えた羽は大きさこそ変わらないものの、その鋭さが消え、大きく外へ振ると、その反動で内側へと突風を吹かし、内側へと大きく振る
怯まず隊員全員が剣を上に振りあげると、動かないと確信し、力をこの一発に集中させ、賭けにも思える振りあがった剣は空を切る音と共に、彼の羽へと振り下ろされる。
しかし――――――
!?
――――皆、目を見開いた。
当たったと確信した直後、そこだけがごっそりと消えているのだ。
なんの比喩でも無く、そのまんま、触れた部分だけが消えている。跡形も残さず、壊れたのではない。消えたのだ。
「邪魔を・・・・・・するなぁぁぁぁぁぁぁ!」
唖然と、形を大きく変更された剣を見ていると、内部から、大きな叫び声が聞こえると同時に、漆黒の羽は攻撃に耐えかねたのか、一度ぎゅっと内側に動き、その反動で大きく羽を外側へ動かす。
すると隊員は竜巻に生身で向かったかのように、軽く100m以上は吹っ飛んで行った
「ボクに・・・触れないでよ・・・」
何故か、その直後、狐珀は顔を手で多い、肩を震わせていた。
上空からポツンポツンと彼の涙が地面に重力に引かれ落ちてゆく。
十香の頭は再び混乱を開始した。
すると、先程まで晴天だった空が狐珀の涙に合わせるようにザーという音と共に雨が流れ落ちてゆく。
幸い、すぐ近くに商店街があった為、そこで難を凌ぐことは出来たが、ど
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