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八神家の養父切嗣
三十六話:思惑
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返しをしてやろう。その手で愛したものを壊す甘美な時を」
「存分に味わっていただこうじゃないか……くくく、ふはははっ!!」

 スカリエッティの声が暗闇に響き渡る。その声は一部の隙間もなく繋がれているというのに声が変わっているように聞こえ、まるでそこに二人(・・)いるかのように聞こえるのだった。





 部隊長室ではやてはニコニコとした様子でメールを読んでいた。その様子にツヴァイはいったい誰からなのだろうかと気になり、ふよふよとはやての肩に飛んでいく。

「はやてちゃん、誰からのメールですか?」
「グレアムおじさんからや。今度、こっちに来ようと思ってるらしいんよ」
「グレアムおじいちゃんですか。それではやてちゃん嬉しそうだったんですね」
「あはは、そう見えた?」

 片手でツヴァイの頭を撫でながらはやては笑う。メールなどを見て笑ってしまうのを人から見られると少しばかり恥ずかしいものだ。しかし、そのまま終わるのも少し癪だったので平気なフリをしてメールに返信内容を打ち込んでいく。

「こっちは元気でやってます。二人(・・)も元気なので心配しないでください……と、最後はこんなもんでええか」
「はいです! それじゃあリインはそろそろ支度をします」
「そうやな、明日の公開意見陳述会の警備に夜のうちから行ってもらうんやったな。辛いやろうけどがんばってな」
「ヴィータちゃんもなのはさんもフォワードのみんなもいるから大丈夫です」
「そっか、それじゃあお願いな。私とフェイト隊長とシグナムも早朝に中央入りするからな」

 メールを送信し大きく伸びをして立ち上がるはやて。同じように背伸びをするツヴァイ。まるで姉妹のような行動だがここには二人以外の人間はいないので誰も指摘を入れない。もっとも、微笑ましいだけの行動なので笑われるだけだろうが。

「公開意見陳述会……なんも起こらんのが一番やけどなぁ」

 だが、そんなに甘いことはないだろうとはやてはどこか達観した考えでドアを開ける。その手にリインフォースTの残した魔道の欠片を握りしめながら。

 公開意見陳述会、様々な思惑が渦巻く中、運命は急激に動き始める。

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