三十六話:思惑
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50個以上、ジュエルシードは現存する12個全て。
これだけあれば世界の一つ二つは簡単に滅ぼせるだろう。だが、そんな無粋な真似に使うのではない。もっと素晴らしいことに使うのだと男、スカリエッティは更に笑みを深める。そんなところにある通信が入ってくる。
【スカリエッティ、明日の準備は既に整っているか?】
「これはこれは最高評議会殿。ええ、ガジェットに私の作品たち共に最高の状態。いつでも構いませんよ」
【よろしい。抜かりなく行うように】
「それはもちろん。しかし、最高評議会殿も酷なことをされる。仮にも彼らは身内だというのに」
【より大きな善の為だ。少々の犠牲は構わん。最後に世界が救われればそれでいいのだ】
自分の身内ですら正義の為であれば容赦なく切り捨てる。その冷酷さに、滑稽さにスカリエッティはさらに笑みで顔を歪ませる。想像するだけで楽しくなるのだ、彼らに、自分の生みの親に同じように恩返しをすることが出来ると思うと。
「くふふふ……そう、新しい世界の為には、あなた方が再びこの世界の指導者として立つためには必要なこと」
【より完璧な平和を実現するには指導者の存在は不可欠。それも絶対的な支持を得た上でな】
しかしながら今は道化を演じなければならない。忠実に仕えるというのも面白い。だが、かごの中に囚われているだけでは鳥は満足できない。既にかごのカギは手の内にある。今は最高のタイミングを見計らっているに過ぎない。彼らが最も絶望するその時を。劇が最も盛り上がるその時を。
【では、首尾よく進めるように。必要ならこちらから根回しもしてやろう】
「くくく、ご援助、痛み入ります。ああ、それと評議員殿。私が作った体の出来は如何でしょうか?」
【問題はない。いい出来だ、私としても満足だよ】
「それはそれは、私も嬉しい限りですよ……くふふふ」
スカリエッティの唇の端が一層吊り上がる。全ては計画通り。それは間違いないだろう。ただ、相手が思い描いていた展開とは違ったものになるかもしれないというだけの話。手の平の上で踊っているのは果たしてどちらか。
【それでは、くれぐれも失敗せぬようにな】
「もちろん、全ては平和な世界の為に」
仰々しくお辞儀をしてみせるスカリエッティに満足したのか最高評議会は通信を切り、姿を消す。それを確認するとスカリエッティは今までの笑いなど我慢していたに過ぎないとばかりに絶叫するように嗤い始めた。
「くくくく! はははは! さあ、いよいよだ。最高のショーをこの世界の全ての人間にお見せする時が来たのだ!」
「虚しく終わりを告げる古い世界、いつまでも自分達が支配者であると思い込んでいる古い者よ、終わりの始まりだ!」
「私達の生みの親へ最高の恩
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