第五話 姉の苦悩その十二
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「こうした時は神仏です」
「そうした存在がいる場所に行けばいいですね」
「いいです、そうすればです」
院長は優子に穏やかな声で話していく。
「少しでも心が穏やかになります」
「お酒ばかり飲むよりいいですね」
「その筈です、ですから」
「では時間がある時に」
「行かれてはどうでしょうか」
こう言って勧めるのだった。
「幸いこの町には神社仏閣も多いですし」
「八条神社等ですね」
「はい、お寺もあれば」
「教会もですね」
「参られることもです」
そうしたこともというのだ。
「考えられて下さい」
「そうさせてもらいます」
優子も考えると答えた、そして。
優子は実際にだ、この次の日からだ。
少し時間があれば八条町の中にある神社や寺、教会等を巡った。八条学園の中にもそうした場所はありそこにも足を向けた。
学園内の博物館や美術館の宗教関係の展示品も観ていった、そうしたことを一週間程続けていると少しだが。
気が落ち着いてきた、それでだった。
家で飲む酒の量もだ、実際に飲んでいる時に優花に言われた。
「半分だけれどね」
「お酒の量減ったわね」
「最近ずっとウイスキーとか一日二本だったけれど」
それがとだ、リビングの自分の席の向かい側に座って今日はラムをロックで飲んでいる姉に言った。
「今は一本だね」
「少しね」
「少し?」
「気が晴れてきたのよ」
そのせいでというのだ。
「だからね」
「お酒を飲む量もなんだ」
「減ったのよ」
「別のストレスの解消の仕方見付けたんだ」
「ストレス解消っていうかね」
優子は言葉を選びつつ答えた。
「清らかなものに触れているっていうか」
「清らかな?」
「ちょっとね」
飲みながら微笑んで言った。
「いい場所に行ってるのよ」
「変にお金かかる場所じゃないよね」
「ホストクラブとか?」
「自分で言うところ見るとそうした場所じゃないんだね」
「そうしたお酒の飲み方はしないわ」
ホストクラブ等に行ってというのだ。
「私はね」
「こうしてお家で飲むか、だよね」
「居酒屋とかで飲んでるでしょ」
「確かに姉さんの飲み方はそうだね」
「男の人が銀座とかでそうした飲み方するけれど」
「姉さんはそういうことには興味ないね」
「全然よ」
ホストクラブ等で飲む様なことについてはというのだ。
「全く興味がないわ」
「だからだね」
「ええ、そうしたことじゃないわ」
「まあああした場所で飲むとね」
どうなるかとだ、優花は世間で言われていることを言った。
「お金が幾らあっても足りないっていうし」
「そうよ、もうそれこそね」
「お金がどんどんなくなるらしいね」
「お酒は飲んで食べることに専念しないと」
優子は自分の酒
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