第二十六話 困った子ですその一
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困った子です
「そうなのよ」
クラスでクラスメイトの女の子達に愚痴ることしきりでした。何故愚痴っているかというと当然あの阿波野君のことです。彼以外にいません。
「いつもね。調子がよくてね」
「あら、面白い子ね」
「ねえ」
けれど皆はこう言います。
「可愛いじゃない」
「そういう後輩もいいわよね」
「しかも男の子だしね」
「男の子ならいいの?」
顔を顰めさせて皆に問い返しました。
「本当に失礼で調子がいいんだから。練り合いだってお菓子ばくばく食べて一人で浮かれて騒いでだったのよ」
「男の子ってそんなのよ」
「ちっちだって知ってるでしょ?」
「ええ、まあ」
それはわかっているつもりだったので頷くことは頷きました。けれどそれでもふそくに感じてはいます。それを止めることは自分ではできませんでした。
「おぢばがえりでも教会でもお世話させてもらってたから」
「じゃあふそく言わないの」
「ふそくは何にもならないしね」
「わかりたくないけれどわかったわ」
我ながら変な日本語だと思います。
「全く。それにしてもね」
「今度は何よ」
「奥華の男の人って皆個性的だけれど」
案外真面目なカラーですけれど地元が大阪に広島ですから。本当にありとあらゆる意味で個性的な人達ばかりです。中にはサングラスがやけによく似合う教会長さんまでおられます。ちょっと見たらそっちの筋の人じゃないかしらっていうような雰囲気です。
「それでもねえ。あれはないわ」
「ありよねえ」
「ねえ」
けれど皆にはこう言い返されます。
「普通にね」
「そんな子もね」
「そうかしら」
「ちっちは生真面目に過ぎるのよ」
「そういうのはかえって駄目よ」
また言われました。
「もっと柔らかくいかないとね」
「これから教会の奥さんになっていくんでしょ?」
「ええ、まあ」
三人姉妹の長女なので。結果的にそうなってしまいます。だからこの天理高校に通ってもいます。神戸から寮に入って。その為だったんです。
「そうだけれど」
「だったらもっと柔らかくね」
「器が大きくならないと」
「いい加減でもいいってこと?」
いぶかしむ顔で皆に尋ねました。
「それって」
「言い方次第ではそうなるわね」
「まあそうね」
しかも皆それに頷いてきました。
「多少いい加減でもあれでもそうよ。心さえしっかりしていたら」
「それでいいじゃない」
「あの子はしっかりしていないかも」
「だったらしっかりさせるのよ」
「ほら、言うでしょ」
ここでまたおみちの言葉が出て来ました。
「真柱様の眞之亮様のお話。知ってるわよね」
「ええ、それはね」
流石にこのお話は知っています。
「あれでしょ?しんは細
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