巻ノ三十五 越後へその八
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「拙者をというのか」
「では春日山に行かれたら」
「直江殿にお会いしましょう」
「そして是非です」
「あの方と」
「そしてお話をしようか」
幸村は家臣達の言葉を聞いて言った。
「何かとな」
「そして直江殿という方もですな」
「お知りになりたいのですな」
「うむ、直江殿程の方とお話出来れば」
そのことによってというのだ。
「何かと学べるであろうしな」
「優れた方とお会いすることもですな」
「そしてお話することも」
「それもまた学問」
「そうですな」
「書に旅に出会い」
そうしたもの全てがというのだ、幸村はこれまでの人生の中でそのことをわかっていたのだ。まだ若いが。
「その全てが学問じゃ」
「では直江殿ともですか」
「お会いになられ学ばれ」
「ご自身を高められますか」
「拙者は日の本一の侍になりたい」
こう思うからこそというのだ。
「だからな」
「わかりました、では」
「そのうえで、ですな」
「越後に行かれることもですな」
「楽しみですな」
「全く以てな」
最後には笑みを浮かべていた幸村だった、そして。
実際に越後に旅立つ時にだ、昌幸にだ。
確かな笑みを浮かべてだ、こう言ったのだった。
「では行って参ります」
「楽しそうであるな」
「この者達が共にいますし」
後ろにいる十勇士を振り返って言う。既に服は旅のものだ。
「それに上杉景勝公、直江兼続殿にお会い出来る」
「そのこともじゃな」
「楽しみであります」
「だからか」
「はい、ですから」
「よい顔になっておるな」
「この顔で行き」
そしてというのだ。
「この顔で帰ってきます」
「そうか、ではな」
「暫し」
「うむ、お別れだな」
「それでは」
「わしも間もなく発つ」
信之も言う。
「ではな」
「はい、それでは」
「共にそれぞれの国で学んで来ようぞ」
「では源四郎様」
「お元気で」
昌幸、信之と共にいる真田家の家臣達も言う。
「越後は寒うございます」
「この上田よりもと聞いています」
「ですからそのことにはです」
「くれぐれもお気をつけを」
「ははは、わかっておる」
幸村は自身が幼い時から共にいてくれて世話をしてくれる彼等にも言った。
「身体は大事にしてな」
「そのうえで、です」
「学ばれて下さい」
「越後でも」
「そうしてくる」
こう言うのだった、彼等にも。そして笑顔のままだった。
幸村は十勇士達と共に上田を発った、上田の城が見えなくなった時にだ。
十勇士達にだ、彼は言った。
「上杉家の領内に入ればな」
「その境にですな」
「もう迎えの方が来ておられる」
「そうなのですな」
「そう聞いておる、そしてじゃ」
その迎えの者達と合流して
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