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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十話 俺と、私にできること 後編
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たかもな……って、どうした?」

「綺麗って……綺麗って……」

 何やら小言でブツブツ言い出したフェイトに、俺は何やら危ないものを感じる。

 え、なに、呪い?

 俯いている辺りがなんとも怖いんだけど。

「黒鐘」

「ん、なんだ雪鳴……って、え?」

 俺の右肩に伸びた左手。

 雪鳴の手と分かって振り向くと、雪鳴は冷たい笑みを浮かべていた。

「五年も経っても、黒鐘は変わってない」

 発せられた底冷えするような声に、俺はビクッと身体を震わせる。

(あ、あれ〜? 俺、なんか悪いことしたのか?)

 全身から脂汗が流れ、引きつった笑みになり、笑みの雪鳴を見つめる。

「そうやって目の前の女の子軟派して、攻略してる」

「い、いや、別に軟派なんて痛たたたたっ!?」

 右肩にめり込むかのごとく、雪鳴の左手が握力を込めた。

(せ、雪鳴ってこんなに握力あったっけ!?)

 筋肉が付きにくいからてっきり握力は低いのかと思っていたけど、どうやら見込み違いだったらしい。

 いや、そんなことはどうでもいいんだけどさ!

「決して黒鐘が悪いわけじゃない。 けど……」

「け、けど……?」

「なんか、イライラする」

「なんかって……痛ぃたたたたたたたた!?」

 更に込められた握力に悲鳴を上げる俺。

「待って! メキって! 今メキって言ったよ!?」

「少し我慢して」

「が、我慢って!?」

「私の怒りが収まるまで」

「な、なんでさあああああ!?」

 俺の悲鳴と言うか叫び声が、天にまで昇った……ような気がした。

 その後、落ち着いた雪鳴は謝罪。

 時間も時間なので今日はこの辺で切り上げ、俺は雪鳴を自宅まで送ることにした。

 フェイトのことは、彼女のデバイスを俺が預かっているのでアマネを監視役に置いておくだけにした。

 ホント、女の子って難しいな〜と思う時間だった。


*****


 九時にもなれば、商店街はコンビニやファストフード店などを除くとほとんどが閉店している時間のようで、街灯と車のライトの光に影を作りながら俺と雪鳴は夜道を歩く。

 管理局の仕事で深夜帯にだって外を歩いていたけど、こうして一般人として歩くのは気分が違う。

「なんか、悪いことしてる気分だな」

「このまま逃避行も悪くない」

「それは悪い冗談だ」

「失敬」

 俺と雪鳴は静かに笑い合う。

 薄着で歩く俺達だけど、春の夜は少し冷たい。
 
 雪鳴の要望で手を握って歩いているけど、俺の左手を温める雪鳴の左手は、汗ばんでいた。

 きっと温かいのだろう。

 五年前のように、手を握ってい
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