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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第496話】
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編み物……かな?」
編み物――手先が器用そうなだけに、意外だった。
「一応私は……本、差し入れに持っていくから……」
「成る程、なら俺は今聞いた手芸セットを持っていこう」
ニヤリと表情を歪ませた俺に、簪は――。
「ヒルト……意地悪……」
「……ふふっ、別に意地悪じゃないさ。 苦手な事を克服するのも、人の成長には良いんだし。 まあそれでも苦手なものは苦手って人もいるがな、これが」
「ふふ……」
簪が笑みを溢す、それを見た俺もニッと笑って見せた。
「あ、ひ、ヒルト……、 こ、これ……」
そう言いながら隣に置いた紙袋を差し出してくる簪、紙袋には何処かのショップ名が書かれていた。
紙袋を受け取る俺に、簪は――。
「み、見て……中……」
「あぁ」
言われて紙袋を覗き込むと、其処には様々なアニメのDVDがあった。
「へえ、懐かしいのもあるんだな、これは確か昔見たことあるやつだよ」
「ど、どれ?」
そう言って立ち上がる簪の顔が近付いてくる、一瞬ドキッとした俺は――。
「か、簪、顔が近いんだが……」
「え……? ――〜〜〜〜〜〜〜っ」
そう指摘するとぱちくりさせ何度か瞬きした後に、簪は顔を真っ赤にさせて飛び退く様に離れた。
「ご、ごめん……なさぃ、ヒルト……」
「いや、気にするなよ。 ちょっと顔が近くてドキッとしただけだからな、わははははっ」
笑って誤魔化す俺に、簪は小さく言葉を漏らす。
「私にも……まだ、チャンス……ぁる、かも……」
「……?」
何のチャンスだろう――そう考えながら、紙袋の中身が崩れていたので整理をし始める。
「簪って、好きなんだな?」
「えっ……」
何故か驚いた様な声をあげる簪、疑問に思うも中身を整理しながらチラチラ見ることしか出来なかった。
「う、うん……。 好き……、最近……き……づいた……」
「最近?」
そのわりには結構年期のあるアニメがある気がするが、まあ最近好きになり始めた作品もあるって事だろう。
そう思いながら、整理を終えた俺は簪を見ると、顔を真っ赤にして俯き、スカートの裾をぎゅっと握っていた。
「あ、の……」
「……?」
簪が何度も深呼吸をし始める、そして真っ赤になった顔をあげると突然大声で――。
「だっ……大好き……!」
そんな大声に、野次馬が集まるが如く部屋から様子を見に出てくる一年生生徒達。
「そ、それじゃ……!」
人が集まる前に、簪は慌ててその場を後にした。
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