第百二話
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移る。眩しいペンライトが炸裂する観客たちの目線を一手に集める、スタジアムを支配するアイドルこと、七色・アルシャービン――セブンと名乗るキャラと、瓜二つの姿がそこにはあった。
「セブン……」
アイドルにしてVRMMO研究家の天才少女。一度だけこのALOで会った彼女は、どうやらそんな肩書きを持っているらしく。今はアイドルとしての活動中らしく、ファンであるクラインとルクスを虜にしていた。確かに大人気アイドルと言われても頷ける、そんな姿をテレビで見ていると、これからライブが始まるところのようだ。
『みんなー! 今日はありがとー!』
「セブンちゃーん!」
「うわぁ……あ、そういえばショウキ。前貸したCD、どうだった?」
テレビの向こう側に対して声援を送るクラインに、心底引いたような顔を見せながら、リズは思い出したように聞いてきた。そういえば、リズから彼女オススメの歌手――《神崎エルザ》のCDを借りていた。テレビに映った七色とは違って本業は歌手だが、アイドルのような容姿を持っているらしい。
……らしい、というのは。リズが外見が映っているパッケージまで、貸してくれなかったからだが。
「ああ、しっとりとした感じでいい歌だった。他にあるか?」
「ほほう。分かってるじゃない。あたしの神崎エルザコレクションが火を吹くわよ」
「リズさん、ちょっとよく分からないです……」
火を吹くかどうかはともかく、リズのおかげで歌にも少し興味が出て来た。どんなものかと七色の歌を聞いてみようと、テレビ画面の方に意識を集中させた。隣に座っているルクスのように、拳を握って身体中でワクワクを表現するまではいかないが。
『みんな知ってると思うけど、わたしはアイドル以外にもVR世界の研究で博士もしてるの』
キリトたちの家での窓に映った画面では、ライブの前座である七色のトークショーが続いていた。何やら、重大かつサプライズな発表があるとのことだ。
『それで今度、VRMMORPGに研究の一環でログインするの。ギルドも作る予定だから、みんなで遊びましょ!』
「マジで!?」
クラインの大きな驚愕の声に、テレビ画面を見ていなかったメンバーもつられて画面を見る。七色のライブステージに映る、どこまでも広がる蒼穹と自在に飛翔する妖精たち、そして空中に鎮座する浮遊城の姿を。
『――そのゲームの名前は、アルヴヘイム・オンライン!』
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