第百二話
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ルクスからの注釈にようやく、ああ、とシリカの言葉を意味を悟る。リズとレインに俺が作り出した、新生した日本刀《銀ノ月》の新たな力。ソードスキルが使えない俺が、属性を司るための手段。
それが柄にセットするアタッチメント。それぞれ司る属性があり、セットしたアタッチメントによって、その属性の攻撃と効果を付加する――というものだ。例えば、炎ならば剣は全てを焼き尽くす業火に包まれ、水ならば全てを受け流す流水の力を得る。今はアイテムストレージに仕舞われているが、どちらもリズベット武具店として自慢の逸品だ。
「リズも気合いいれてたし、よく出来て良かったよ」
「ああ」
「……これは別ゲーと思うわたしがおかしいんでしょうか……」
どんな兵装か二人に説明し終わると、しきりに感心しているルクスとは対照的に、シリカは少し首を傾げていた。そんな飼い主の言葉が終わるとともに、ピナは小さく鳴き声を漏らしていたが、それは飼い主を肯定する言葉か否定する言葉か。もちろん制作者の一人として、シリカの疑問はごもっともだと思う次第。すまない……レプラコーン驚異のメカニズムですまない……
「でも……何だかいいな。憧れるよ、ショウキさんとリズの関係」
「っっぐふ」
内心でシリカにそう謝っていると、ルクスから放たれたド真ん中ストレートに変な声がでる。かなり恥ずかしいことを語っているというのに、当のルクス本人は「どうしたんだい? 喉に詰まった?」な感じだからどうしようもない。でもニヤニヤとこちらを見ているシリカとピナは許さない。
「……あ」
「どうしました?」
そんなこんなでシリカとピナにどう反撃するか考えていると、キリト家のモニターにもなる巨大な窓の向こう、このイグドラシル・シティの景色。空に浮かぶ浮遊城に最も近いこの街に、白い雪が降り始めていた。
「わぁ……!」
「運営も粋なことしてくれるじゃなーい」
もはや年末も近いこの季節。クリスマスに続いて降り注ぐ雪に、女性陣からの運営への評価は上々だった。ここで帰る時寒いなぁ、とか、雪が降ったらあのフィールドは〜とか、今まで雪だらけのヨツンヘイムにいただろうとか、そう思ってしまうのがダメなのだろう。きっと似たようなことを考えていた、そんなキリトと目があって苦笑しあう。
「やっと解放された……」
そこに疲労困憊といった様子で座り込んできたのは、今の今までOSSについて聞かれていたレイン。どうやらみんなが雪に目を取られた隙に脱出してきたらしく、疲れて机に突っ伏しながらコップを口に持ってくるその姿は、控え目に言っても酔っ払いのようだった。
「あーしんどかっ……ゴホン。あーあー、えっと。……レインちゃんだよー?」
「ああ」
「そうですね」
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