第百二話
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だけどな」
同じくレインへと出遅れたらしい、シリカとルクスが揃って話しかけてくる。それに苦笑で返しながらも、三人で適当な席へと座り込んだ。
「ルクスさんはどうですか? 二刀流OSS! なんて」
「それは私には無理だよ。まだ二刀を振るうだけで精一杯なんだ」
ルクス本人曰わく、キリトの真似とのことだったが、そうそう真似出来る技ではなく。左手の剣はひたすら防御に利用する――という、攻撃してから攻撃なキリトの剣技とはかけ離れたものだ。そう謙遜するルクスに対し、シリカはピナに軽食を分けながら問いかけていく。
「じゃあ、キリトさんに直接教えてもらうとか?」
「それは――」
「ルクスー。そっち足りてるかー!」
「――ひゃ、ひゃい!?」
「ダメみたいですね……」
向こうの席からの軽食は足りているか、というキリトからの問いに代わりに答えながら、声をかけられただけで顔を真っ赤にするルクスを落ち着かせる。あの浮遊城の時から憧れの人だった――とは聞いていたが、もう少し限度というものが無いだろうか。
「確か……ルクスって中層にいたんだよな?」
「あ、ああ。だからキリト様……さんやショウキさんみたいな、攻略組の人に勇気を貰ってたよ」
「あ、それ分かります!」
同じく中層プレイヤーだったシリカの合いの手を聞きながら、ルクスの顔をジッと見つめた。その軽くウェーブが入った髪に、ふわっとした雰囲気を感じさせるその姿は、俺たちと同様にアインクラッド当時と同じコンバートしたままだ。どこか見覚えがあるようなその顔を見ていると、ルクスの方が少し頬を赤く染めて顔を逸らしてしまう。
「ショ、ショウキさん、その……」
「ショウキさん? リズさんに言いつけますよー?」
「あ……すまない。ルクスの顔、あっちで見た覚えがあって」
気づけばずっと眺めるという失礼なことをしてしまい、照れ笑いするルクスに半目で睨んでくるシリカに、髪をクシャクシャと掻きながら謝罪する。どこかで見た覚えがある、といった瞬間、ルクスの顔が強張った気もするが――真偽を確かめるその前に、ストローでジュースを飲んでいたシリカの言葉が紡がれた。
「ショウキさんって結構、中層も来てたみたいですし。その時に見たんじゃないですか?」
確かにあの浮遊城の時は特異な理由により、キリトたちほどレベリングの必要がなかった俺は、よく中層にも顔を出していた。故に完全に攻略組プレイヤー、とはあまり胸を張って言えなかったが……そんな俺の心中を知ってか知らずか、シリカは机から身を乗り出した。
「それよりショウキさん。ショウキさんも何か凄いことしてたじゃないですか!」
「凄いこと……?」
「新しい刀のことじゃないかな」
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