第十三話 事後処理
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マル伯爵領内を範囲とする停戦協定を結ぶこと
・現地治安維持及び防衛のために一個大隊(約千人)が駐屯することを認めること
・上記の駐屯地の土地の割譲及び食糧(穀物)を提供すること
以上が、こちらからの提案です」
俺が言い終えるとハミルトンはピニャの方を向いた。
「第一第二第三については了解した。だが、捕虜の権利はこちら側にしていただきたい」
やはり捕虜の権利は譲ってもらえないか。まぁ街の復興とかに人手がいるからな。仕方ないか。
「イタリカの復興のために人手が必要だということは理解しました。しかし人道的に扱う確約を頂けますか」
「ジンドウ、テキ・・?」
しまった、この世界には人道的という言葉はないんだったな。
「友人、知人、親戚のように無下に扱わないということです」
「友人や親戚が、平和に暮らす街を襲い人々を殺め、略奪などするものかっ!」
ハミルトンが席を立って声を荒げた。
「それが我々のルールです」
「・・・分かった」
ハミルトンを座らせながらピニャが答えた。
「その代わりと言ってはなんですが、捕虜数人をこちらにいただけないでしょうか。現地の情報を詳しく知りたいと思いますので」
「かまわない・・・」
「ありがとうございます」
俺は笑顔で頭を下げた。だがピニャ皇女の顔はいまだ強張ったままだ。もう少しリラックスしろよ・・・しわが出来るぞ?
「では残りは停戦協定と軍隊の駐留についてだが、停戦協定はともかく軍隊の駐留は・・・」
「この世界では相手の街に駐留して占領することがあるようですが、これはあくまでイタリカを守るためのものです。こちらとしても異世界との重要なつながりを失くしたくはありません」
「なるほど、分かった。認めよう・・・」
こちらには圧倒的な軍事力があるからな。下手に怒らせるより逆に取り入れる方が向こうにとっても利益があるだろう。一個大隊とは言っても各地の治安維持には十分すぎる数だ。防衛についてもイタリカだけであれば十分に援軍到着まで持ちこたえられる。
「では捕虜の権利を除く6条は認めていただくということでよろしいでしょうか?」
「ああ、問題ない・・・」
「では我々は失礼させていただきます。・・・あ、捕虜を選びたいのでハミルトン殿に同行をお願いしたいのですが」
「ああ、かまわない・・・」
俺たちが部屋を出るまで終始ピニャ皇女の顔は強張ったままだった。
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