暁 〜小説投稿サイト〜
大統領 彼の地にて 斯く戦えり
第四話 壁外調査
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
諸王国軍の襲撃から五日後、諸王国軍を壊滅させたロンディバルト軍は丘周辺に3重の有刺鉄線と8メートルの2重の防壁を作り、第二第三陣が送り込まれ守りは盤石なものとなっていた。

「閣下、帝国へ侵攻するにも、まずは現地の調査が必要です。捕虜の情報にはヨーロッパで猛威を振るった黒死病に似た病気も確認されております。加えて、帝国制圧後の統治に向けて現地住民との接触及び友好関係の構築が不可欠です。」
特地派遣部隊副司令官であるハイドリヒが、派遣部隊司令官であるペルシャールに意見した。
「うむ、戦いにおいて事前の偵察は必須だろうな。」
「では各部隊より抽出した兵員で6個の偵察部隊を編成し、この地の人間、産業、宗教や政治経済の調査を行います。その調査と並行して現地住民と接触、状況を把握しできうる限り友好的な関係を結んで来させます。」
ペルシャールが頷くと、ハイドリヒは早くも部下に指示を出した。

「なぁ、ハイドリヒ。俺も調査に行っちゃダメかな。正直司令室で書類読むだけとか執務室となんら変わらないのだが・・・。」
ペルシャールはデスクに置かれた書類をパタパタさせながら言った。
「それが司令官というものです。」
ハイドリヒは報告書を確認しながら言った。
「・・・でもさぁ・・・その、ね?せっかくファンタジー世界に来たわけだし、さ。エルフとかモンスターとか喋る動物とかと会ってみたいじゃん?」
ペルシャールはなおも引き下がろうとせずに駄々をこねた。
「・・・確かに閣下はいわばこの世界で言う皇帝ですから、現地住民と親しめば統治時も楽ですね。」
ハイドリヒは別の意味でペルシャールが行くことに賛成した。
「そうそう、だから、ね?偵察部隊に私も加えてくれない?」
「いいでしょう。偵察部隊の中に旧自衛隊員で構成された部隊があります。同じ日本出身者ですし、話も合うでしょう。念のためにシェーンコップ中将と精鋭2名を同行させますが、よろしいですか?」
「ああ、全然いい。じゃあ私は早速準備をしてくるよ。」
ペルシャールはうれしそうに司令室を早歩きで出て行った。
ペルシャールが調査に言っている間、ハイドリヒは愚痴の一つも言わず、ただ黙々と司令官であるペルシャールが行う決済も代わりにやっているのであった。


・・・・・・・・・・・・・


「集まれぇ!第三偵察隊、集合しました!」
次の日、第三偵察隊のメンバーは倒れそうになるほど緊張していた。
「おおっおやっさんじゃないか。シヴァ勤務以来か。」
その理由は、第三偵察隊の隊長が大統領であるペルシャールだからであった。
旧自衛隊階級で言えば陸曹長に値する兵士の中で最高級の曹長である桑原とペルシャールは、大統領座乗艦シヴァで何度か顔を合わせた仲であった。もっともすぐに保安隊から地上部隊に桑原は転属して
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ