暁 〜小説投稿サイト〜
大統領 彼の地にて 斯く戦えり
第三話 諸王国軍敗退ス
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
はたやすく貫通され、その持ち主を穴だらけにした。

そんな中、デュランはただ一人愕然と丘を見つめていた。
「くっ・・・おのれぇぇえっ。」
デュランは足元にあった弓を放った。まさに一矢報いたのであった。

「何故だ・・・、何故、こんなことに・・・。」
そこでデュランは初めてモルトの真意がわかった。

「ふ・・ふは・・ふあっはっはっはっは!あぁあっはっはっはっはっはッッ!!」
デュランは狂ったように笑い始めた。そこにロンディバルト軍の砲弾が直撃し、デュランはそこで生き途絶えた。


・・・・・・・・・・・・


「敵の死者、概算で10万だそうです。」
「・・・銀座で6万、到着時の遭遇戦で6万、合わせて19万か・・・。」
夜が明けた後、ペルシャールとハイドリヒは、戦場を見て回っていた。
「ほう、敵の心配ですかな?」
シェーンコップが倒れた兵士を見ながら言った。
「うちの世界じゃ、16万なんて死にまくってるが・・・中世ということを考えたら・・・。っ!我々の敵、どんな敵なんだよっ!」
ペルシャールは拾った弓を思わず放り投げた。


・・・・・・・・・・・・


「皇帝陛下、連合諸王国軍の被害は、死者負傷者を合わせますと16万に達する見込みです。敗残兵は統率を失い、散り散りに故郷への帰途に就いた模様です。」
帝都では臣下の一人が皇帝モルトに諸王国軍大敗の報を知らせていた。
「うむ、予定通りといえよう。これで近隣諸国がわが帝国を脅かす不安は消滅した。アルヌスより帝都に至るまでの全ての街、村を焼き払い、井戸には毒を投げ入れ食糧家畜は運び出せ。さすればいかなる軍隊とて立ち往生し、付け入る隙が現れるであろう。」
「焦土作戦ですか。」
臣下はモルトの作戦に賛成するようにうなずいた。最も、賛成しなければ忠誠に疑いありと言われかねないからであったが。
「しかし、税収の低下と内部の離反が心配です。」
「離反とは。」
「カーゼル候が中心となり、元老院で陛下の罷免を企てる動きがみられまする。」
「うはははっ、一網打尽に元老院を整理する良い機会だ。スーミツィに調べさせておくがよかろう。」
臣下が下がろうとすると、若い声が大広間に響いた。

入ってきたのは帝国の第三皇女ピニャ・コ・ラーダであった。皇女とは言いながら甲冑を身にまとい白いマントを羽織っていた。
「わが娘よ、何用だ。」
「無論、アルヌスの丘についてです。」
「連合諸王国軍が無残にも敗走し、帝国の聖地たるアルヌスの丘に、敵軍が居座っていると聞きましたっ。この事態に、陛下は何をなされているのですかっ!」
「我々はこの期間に兵を集め、必ずや丘を・・・。」
臣下が代わりに弁解するが、”悠長な!”の一言で遮られた。
「それでは敵の侵入を防ぐことはできぬっ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ