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大統領 彼の地にて 斯く戦えり
第二話 大統領特地へ
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だ!!」
「力づくで戦ってどうなるっ!」
「ゴダセン議員の二の前になるぞ!」
「そうだそうだ!!」
「黙れっ、この敗北主義者がっ!」
「脳筋馬鹿は失せろっ!」
「なんだとぉ!?」

議員たちが怒鳴りあっていると、それを見ていたモルトが手で制した。
「事態を座視することは余は望まん。ならば戦うしかあるまい。」
「おおっ」
「くっ・・・」
属国や周辺諸国に使節を派遣せよっ。大陸侵略を狙う異世界の賊徒を撃退するために援軍を求めるとな!我らは連合諸王国軍ゴドゥ・リノ・グワバンを糾合し、アルヌスの丘へと攻め入る!!」
「おおおっ!!」
「モルト陛下に忠誠をぉ!」
一斉に歓声が上がり、モルトに忠誠を誓う声で議会は埋め尽くされた。そんな中、カーゼルは王座にゆっくりと近づいて行った。
「皇帝陛下、アルヌスの丘は人馬の骸で埋まりましょうぞ。」
カーゼルはこの後起きることが予想できたように言った。モルトは、不気味な笑みを浮かべて答えた。


・・・・・・・・・・


ロンディバルト軍による特地派遣から2週間余りがたった頃、諸王国軍13万が、アルヌスの丘周辺に帝国の要請を受けて集結していた。

「帝国軍の司令官がこんだと!?」
諸王国の1国であるエルベ藩王国軍の司令官、デュランが声を荒げた。
「我が帝国軍は、今まさにアルヌスの丘にて敵と正面から対峙しており、司令官がその場を離れるわけにはまいりませぬ。」
帝国軍の使いが弁明をすると、諸王国の将軍たちは渋々納得した。
「・・・解せんな。丘にはそれほど敵がいるようには見えなかったが・・・。」
「デュラン殿、帝国軍は我らの代わりに、敵を押さえてくれておるのだ。」
「リィグゥ殿・・・。」
その将軍の一人であるリィグゥが既に勝った気で言った。
「諸王国軍の皆様には、明日夜明けに敵を攻撃いただきたい。」
「ふっ、了解した。わが軍が先鋒を賜りましょうぞ。」
「いや、わが軍こそ前衛にっ。」
「お待ちくだされっ。此度の先鋒は我々に!」
将軍たちはリグゥと同様既に勝った気で我先にと一番槍を欲したが、その中でデュランだけは何も言わず、何かを考えるように腕を組んでいた。
「それでは、アルヌスの丘にて。」
そういうと、帝国の使いはテントを出て行った。

「朝が楽しみだな。」
「わが軍だけで敵を蹴散らしてくれるっ。」
「無念、惜しくも先鋒はならなんだか・・・。」
見事先鋒を勝ち取った将軍達を見て、リグゥは肩を落として言った。
「異界の敵は1万程度、こちらは合して25万・・・。武功が欲しければ先鋒意外に機会は無いとお考えか。」
「そうとお分かりなら、何故先鋒を望まなかった?」
デュランが呟くように言うと、リグゥは覗き込むように言った。
「此度の戦いは気に入らん・・・
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