第二話 大統領特地へ
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れば戦闘ではなく一方的な虐殺である。戦車部隊が一気に敵陣へと突入し、進路上に敵がいればひき殺し、弓を撃ってくれば機銃で撃ち殺し、十人ほどの兵士が縦で防御人を作れば主砲で吹き飛ばした。
戦いは日の出ごろまで続き、異世界の軍隊は2000人ばかりが逃げ出して6万人近くが肉片となっていた。対するロンディバルト軍の損害はほぼゼロに近く、圧倒的な勝利であった。
この戦闘の1週間後、捕虜の情報で”アルヌスの丘”と呼ばれるこの地には、派遣部隊の第二陣、三陣が到着し、強固な砦が築かれていた。
・・・・・・・・・・
時は三日ほど戻る。
異世界を統治する帝国、その中核となっている元老院では、緊急の議会が開かれていた。
「大失態でしたな、皇帝陛下。帝国の保有するそう戦力のなんと4割を損失。いかなる対策をご講じになるおつもりですかな?皇帝陛下はこの国をどのようにお導きになるおつもりかっ。」
ガーゼル侯爵の報告に、議員たちがざわめき始めた。帝国軍は世界最強と呼ばれる精強な軍隊である。そんな軍隊が6割も失われたのだから無理もないことだろう。
しかし、そんな中でも一人だけ口を開かず沈黙を保っている男がいた。
王座に深々と座る、帝国の皇帝モルト・ソル・アウグスタスである。カーゼルの報告を聞いたモルトは、その沈黙を破った。
「カーゼル侯爵、卿の心中は察するものである。此度の損害で、帝国の有していた軍事的な優位が失せたことも確かだ。外国や帝国に服している諸王国が一斉に反旗を翻し、帝都まで進軍してくるのではないかと、不安なのであろう。・・・ふ、痛ましいことである。」
「なっ。」
「我が帝国は危機に陥るたびに元老院、そして国民が心を一つにして立ち向かい。そして更なる発展を成し遂げてきた。戦争に百戦百勝はない。ゆえに此度の戦いの責任の追及はせぬ。・・・まさか、他国の軍勢が帝都を包囲するまで、裁判ごっこに明け暮れようとする者はおらぬな?」
その言葉に今までざわめいていた議員たちが急に静かになった。それを聞いたカーゼルは、”自分の責任を不問に”とつぶやいた。
「しかし、いかがなされる?」
議員たちが静まると、中央に一人の老人が出てきた。
「送り込んだ軍はわずか二日で壊滅してしまった。しかも門は奪われ、敵はこちらに陣を築こうとしているのですぞっ。無論我らも、丘を奪還せんと迫りました。だがアルヌスの丘が点滅し、爆音が響いたかと思った次の瞬間、周りに爆発が起こり、兵士たちは吹き飛ばされたのです。あんな魔術私は見たこともございませんっ。」
「戦えばよいではないかっ!」
門奪還部隊の指揮を執っていたゴダセン議員の発言を遮るように、甲冑を着た軍人らしき議員が大声で言った。
「兵が足りぬのであれば属国から集めればよいっ!再び門の向こうへ攻め込むの
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