第26話神速のバーサーカー
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三人称side
黒き魔剣と白竜の剣の16斬の星の嵐のによって、この世界から消し去られるはずだった悪魔。死の淵より蘇りし蒼眼の悪魔。その目に映るは己を葬ろうとし、それに至らず、大技の反動により身動きが効かなくなった《黒の剣士》。存在するのかどうかは関わらず、悪魔の心に宿った感情は恐怖か。はたまた怒りか。それとも、完全なる勝機か。我を葬りし力はもう使えない。人間ごときが、身の程を知れ。殺られる前に殺る。
悪魔は片手で巨大な剣を軽々と持ち上げ、狙いを定め攻撃の体勢に入る。標的ーーー《黒の剣士》。
(まずい、殺される・・・!)
奥の手の《二刀流》まで使ったのに倒しきれなかった。敵の復活を許してしまった。星の16連撃、《スターバースト・ストリーム》を使用した代償である長時間の硬直。巨大な敵を目の前にして身体の硬直は死を意味する。左手の暗闇を祓う白竜の剣以外は黒一色の少年は上から迫ってくる大剣を視認し、目を閉じ死を覚悟した。だが悔いや後悔、未練がない訳ではない。
(ごめん、父さん、母さん、スグ。俺、みんなの所には帰れない・・・)
彼には現実の世界で彼の帰還を待つ家族がいる。両親と一つ年下の妹。二年前のあの日ーーーこの世界に囚われた運命の日に交わした言葉を、家族との最後の会話にしたくはなかった。そしてーーー
(ごめん・・・アスナ!)
この世界での最初の難関で共に戦った少女、《閃光》のアスナ。自分とは全くと言っていいほど性格の違う彼女を意識し始めたのはいつだっただろうか。今までの16年の人生であそこまでーーー人を愛した事があっただろうか。彼が自分の想いを彼女に伝える事はーーー
「ふんっ!!」
まだ叶えられる。突如目の前に現れ、悪魔の胸を切り裂いた少年を認識した瞬間、そう思えた。大昔存在していた忍者と呼ばれた者達の衣と同じデザインの赤き衣と、己の周囲に存在する敵を拘束する黒のマント、そして竜の翼という名の大剣。恐らく《黒の剣士》キリトとまともに渡り合える人間はーーーこの隻腕の親友、ライリュウしかいないだろう。
「ライリュ・・・ッ!?」
キリトは突如現れたライリュウの名を発しようとしたが出来なかった。たった今目の前にいたはずの親友はーーー気付いたら悪魔の後ろを取っていた。
「ライリュウくんってあんなに速かった・・・?」
「リュウの字の奴、最近敏捷値上げてるって聞いてたけんど・・・」
「でも、あそこまで速いスピードなんて出せないよ。むしろ速すぎて・・・」
スピードに大きな自信を誇る《閃光》の異名を持つアスナはライリュウの急激なスピードアップに驚きと疑問を覚え、ギルド《風林火山》の赤い甲冑を纏った侍の男クラインは彼の移動速度の上昇の理由を想像するが
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