第39話
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倒的な強者を前に華雄は笑った。
敵わない、その答えは――当の昔に弾き出している。
武芸大会で辛酸を舐めて以降、血の滲む鍛練を送ってきた華雄。冷静さを欠いていたとはいえ、あの関羽を片手であしらう武力を手に入れた彼女が導き出した答え。それが『敵わない』であった。
それほどまでに恋の武力は常軌を逸している。
「次で――決める!」
日々強敵を想いながら鍛練する内に、自分――そして相手に欠けていたものに気がついた。
技だ。
本来技とは、強敵を破る為に用いられる。強者が己の武を磨くために習得する事もあるが、それは稀だろう。
生れ落ちた時から強者である華雄には、技は不要だった。
幼少期から大人顔負けの力。それは武将になっても変わる事無く彼女は強者であり続け、慢心に繋がる。
『強者に技など不要、却って武を鈍らせるだけだ!』
強者にとって薙ぎ払いや、振り下ろしこそが技。それ以外は不純物である。
そしてそれを――圧倒的強者が証明した。
「ハアアァァッッ!」
呂布の矛は神速、遅れて出しても敵より速く斬りつけられる。
呂布の力は豪力、右に出る者は居ない。
自分より強者がいないのであれば――技など不要だ。
――貴様が切り捨ててきた技で、私は勝つ!
「!」
両の手で勢いを付け振り下ろされる戦斧、恋はそれを即座に受ける事で防いだ。
華雄の持つ相討ちを辞さない気迫が、恋に防御を選択させるのだ。
そして一瞬、ほんの一瞬だが受けた戦斧から圧が消える。
今までの攻防では無かった――明確な隙。
「……フッ」
「しまっ!?」
恋は短い呼吸と共に戦斧を弾き返す。両の手で得物を握っていた華雄の体勢は大きく仰け反り、弾いたまま矛を振り上げた姿勢の恋に、無防備な胴体を晒す。
「――?」
優位な体勢の恋に疑問が浮かぶ、何かが腑に落ちない。
華雄とはこの程度の武人だろうか、先程まで自分に喰らいついていた相手が――
呆気ない展開に違和感を覚えるが、この隙を逃すわけにはいかない。
恋は本能に従い矛を振り下ろした。斜めに一閃『袈裟掛け』
「それを待っていた!」
「ッ!?」
恋が驚いたのは華雄の言葉ではない。振り下ろした矛の先に突如現れた障害物、柄だ。
何の柄かは考えるまでも無い、華雄の得物『金剛爆斧』のものだろう。
華雄はそれを矛が届く前に割り込ませたのだ。
恋は――悪足掻きと捉えた。
弾かれた姿勢で柄を割り込ませたのが、華雄に出来る精一杯。
せめて致命傷だけは免れようという悪足掻き、そんなもの――自身の矛の前では無力!
恋が放つ矛の斬撃は尋常ではない、それは一撃で破壊
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