第39話
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自分達の目的は洛陽の董卓だ、ここで足を止める訳にはいかない。
「華雄様! 敵の騎馬が――ッッ」
「捨て置け、こいつを留められただけでも上出来だ」
「……」
音々音は恋と三百の騎兵を残し七百の騎馬で華雄軍を突破、洛陽を目指す。
以前の彼女には考えられない行動だ、一昔前の音々音であれば恋と別行動を取れない。
仮に取れたとしても、恋に援護など不要と考えだろう。
今回彼女は三百の騎兵を残した。数だけで見れば寡兵だが、恋の背中を守るには十分な戦力だ。
――三百もいれば十分、呂布殿なら遅れはとらないのです!
そこには以前盲目的だった音々音には無い、信頼と観察眼に基づく戦術があった。
華雄が恋と矛を交えた頃、左翼の張遼軍も孫策軍相手に苦戦を強いられていた。
「ほらほらぁッ! もっと私を愉しませなさい!!」
孫策が先陣を切り狂戦士の如く剣を振るう、頬を上気させ恍惚とした表情。
血に――と言うよりは戦場に魅入られている。その戦い方は色んな意味で危うい、現に隙だらけだ。
しかし彼女を補佐するように、甘寧と周泰の両名が孫策の左右を守っている。
そしてダメ押しと言わんばかりに、後方から弓による絶妙な援護射撃。
軍列を乱そうとすれば即座に整えられる、優秀な指揮官が居る証だ。
完璧な連携。これがあるから孫策は先陣に集中でき、爆発的な戦果を生み出せるのだろう。
「ウチが出られれば……」
「駄目です! 副将も居ない今、将軍が中核から離れれば指揮系統が麻痺します。
そうなれば助かる者も助かりません!!」
「そうも言っていられないみたいやで」
「? ……なッ!」
張遼の目線を追った兵士は絶句する。前方――虎牢関から、曹操の軍勢が確認出来たのだ。
「急報! 右翼の華雄様が七百程の騎馬に抜かれました!!」
「敵将は?」
「ハッ、敵将呂布の突破阻止には成功、現在は華雄様が交戦中です!」
「上出来や華雄!」
洛陽には一軍に匹敵する戦力を残してある。精鋭とは言え呂布を欠いた七百の騎兵では、突破に時間が掛かるだろう。
その隙に――賈駆が主を逃がすはずだ。
「前方から曹操軍が接近、間も無く交戦します!」
張遼は曹操軍の先陣にある軍旗を見て目を細める。かの有名な夏侯姉妹とその補佐、そして三羽鳥達だ。手練れは孫策軍に当てている、曹操軍には予備兵と張遼で行くしか無い。
「渋い状況やなぁ、けどウチは気張るで華雄。だからアンタも――」
――敗けるんやないで!
――この気配、左翼の張遼に何かあったか。
恋と相対して
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