RSリベリオン・セイヴァ―外伝SHADOW 五話「再会と遭難」
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の呼吸が落ち着くまで詩織は待った。しかし、大剛の様態は悪化するばかりだ。
――もしかして、アタシにジャケットをかけたから?
風を引かせまいと彼女にジャケットをかけたのはいいが、それがかえって持ち主の大剛が風を引いてしまう始末となった。
「本当に……大丈夫?」
彼の親切を受け入れなかった自分に罪悪感を持ち、詩織はやや心配げに大剛へ問う。
「心配いらないよ? 鈍龍が、看病してくれるから……」
RSには、宿主の装着者を治療するメディカルシステムが搭載されており、装着者が負傷したり病にかかれば、RSの治療機能が作動して、装着者の病体をクリーンにしてくれる。しかし、完全に治療が完了するまでは激しい動きをしないことが条件だ。
仮に安静にできない状態が続くと、直りも悪くなり様態も悪化してしまうのである。よって、今の大剛は絶対に安静な体制を取らなくてはならかった。
しかし、そんな状況の中で最も最悪なアクシデントが発生してしまった。
「!?」
詩織は、自分たちの間の前にのそのそと現れた巨大な黒い物体を目にしてしまう。
「うそ……!」
想像を遙かに覆すほどの巨体を持つ、一匹の熊が二人の前に現れてしまった。
そして、熊は二人を見つけると突然立ち上がった。その背丈は大剛の慎重すら達してしまい程の巨大さであった。
「っ!?」
怯える詩織に、熊は真っ先に彼女の方へ牙を向いた。そして、その強靭な爪を振り回そうとするが。
「逃げろ! 明楽!!」
安静でなくてはならない体を無理にでも起こして、大剛は鈍龍を振り回して、熊の照準をこちらへ向けた。
「で、でも……」
「いいから! 早く逃げるんだ! 俺なら大丈夫だから!?」
「……!」
しかし、詩織は恐怖に足が竦み、逃げようにも逃げられなかった。彼女は、目の前で大剛が熊と戦う場面を見てしまうことになる。
熊の繰りだす爪の攻撃に耐えながら、鈍龍を振り回す。しかし、ふら付いていてとてもじゃないが素早く振り回すことはできない。しかし、ここはどうしても詩織を守らなくてはならない!
「うおぉー!!」
大きく振り上げた鈍龍の槌が、クマの方を直撃し、熊は倒れ込んで痛みにもだえ苦しむ。
「このぉ……!」
そして、とどめに大剛は再び鈍龍を振り上げて熊は即死した。
熊の上半身は、原形を留めないほどグチャグチャの肉片と化していた。頭部がクシャクシャに潰れ、内蔵も飛び出し、これ以上は言い表せないほどの酷い形状となった死体へと変貌していた。
それを見て、詩織は一瞬吐き気を起こし、目をそらしたが、それ以上に無理をしたためにその場へ倒れてしまった大剛の元へ駆け寄った。
「大剛! しっかりしてよ!?」
「う、うぅ……」
これ以上、大剛は立ち上がることはできなかった。
「大剛……」
詩織は、彼の巨体をよいしょと引きず
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