RSリベリオン・セイヴァ―外伝SHADOW 五話「再会と遭難」
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どこにも見当たらず、やはり、相当深いところまで斜面を転がって落ちてしまったのだろう。
「どこなの? ここ……」
夏だというのに、気温が下がっていき、寒さが彼女から体温を奪っていく。
「寒い……どうして? 夏なのに」
とりあえず、神社の近くなら時期に人の歩く道へ出れるだろう。彼女はそのまま目の前の山中を歩いた。
山中はそれほど険しい道ではなかったが、足の踏み場は良くはない。ゆっくりとしたペースだがそれでも詩織は目の前を歩き続けた。
しかし、行けど行けど道は見えてこず、ついに夕暮れ時の空はいつのまにか暗闇に覆われていた。上を見上げれば、満天の星空が窺えるが、今の詩織には無事にこの山中からぬけだしたいという思いでいっぱいだった。
「どうしよう……はやく帰らないといけないのに?」
こう見えても、彼女の家には門限がある。家で親馬鹿な両親が心配しているに違いない……
しかし、暗くになるにつれて右も左もわからなくなる。
「うぅ……」
孤独と恐怖に苦しむ彼女は、両肩を抱いてすすり泣いてしまった。このまま何日も遭難し続けて、最悪の場合、餓死してしまったら……いや、そのまえに熊やイノシシと言った野獣に襲われでもしたら……
しかし、このままだとここで夜を過ごしてしまうかもしれない。それだけは絶対に嫌だと彼女は我武者羅に目の前を歩き続けてしまう。
そして、次第に疲労感によって歩く足がふらつき始めた。そんなときである。
「だ、誰……!?」
ふと、目の前から聞こえたしげみを揺らす音に気付いく。
「誰なの……?」
顔が真っ青になり、彼女は固唾を飲んで目前の草むらを見つめた。
そして、現れたのは大柄な人影。その姿に詩織は巨大な熊が立ち上がったと思い、悲鳴を上げようとしたが、そんな人影から人間の言葉が聞こえてきたのである。
「あれ? 君、確か……」
熊のように見えたその姿は、列記とした人間であった。そして、今日顔見知りとなったあの青年、克真大剛であった。
「あ、あなたは……?」
「確か、明楽詩織ちゃんだったよね? どうしたの、こんなところで?」
こんな山の中で真っ赤な袴をした巫女が一人、何をしているのかと大剛は顔を傾げた。
「そういう、アンタこそ……どうしてここに?」
「ああ、隣のお爺さんの紹介で、ここに美味いキノコが生えてるって聞いたから、もう真っ暗だけど、とても美味いキノコっていうから待ちきれなくてさ? ちょっと探しに来たんだ?」
そんな、いやしん坊な大剛に詩織は呆れたが、それでもそんな彼は自分にとっての救いだと今は思っていた。
「私は……迷ったのよ? ねぇ、アンタついでにアタシを村まで連れてってよ?」
「あ、ああ……いいけど?」
大剛は、そんな態度のデカい口調で話してくる彼女に対し、神社で御奉仕をしていたときとの印象が崩れたと苦
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