ファンディスク:神話と勇者と断章と
エターナル・ミィス
■years after
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歴史を。
少年と少女に握らせた、一枚のディスクを触媒として。
自ら達の歴史に、最も近い世界の未来を。
***
「……」
『おもしろそうだな、とはその時から思ってたんだよ。事象を改編する聖剣の力で、まさか世界じゃなくて自分達の子供を救う……そんな使い手と担い手がいるかよ、と混乱したものさ。今から、そうだな……500年も前のことか』
沈黙してしまった清文に、『彼』は笑う。
レギオン《白亜宮》が長。白き神。無垢な邪悪。無価値なる偉大。
癖毛に紅蓮い瞳の少年神──《主》。
画面の向こうで笑う彼に向かって、清文は問うた。
「じゃぁ、俺の両親は……」
『居なかった、ってことなのかな。最初から』
「……」
では。
では、この身は──
「最初から、人間じゃぁ無かった……?」
異世界人。
清文を端的にあらわせば、つまりはそういうことなのだ。単純な人間ではなく、そもそも生まれついての『超人』だったのであれば──
なんと、馬鹿らしいことだったのだろうか。
「……ははっ……」
乾いた笑いが、零れた。
なんだ。
なんだ、なんだ。
そもそも人でなかったのであれば、人に非ざる己に悩む必要など無かったのだ。
そもそも人でなかったのであれば、人に非ざるが故に変わってしまった日常を、『悔いる資格』などなかったのだ──
『それは違うよ』
弾かれたように画面を見直すと、そこにはいつになく真剣な、神の顔。親友と全く同じ顔の作りをした少年神は、今だけは紛れもない『神』として、啓二をもたらす。
『キミはヒトだ。そのことをキミ自身がよく知っているはずさ。いいかい、ヒトでありたいと思ったその瞬間からヒトである、と言ったのはキミ自身だ。ならばそれを成し遂げてみせろ』
そして笑って、彼は言うのだ。
『僕はキミに、期待しているからね』
***
日本に戻ってきてからも、時折。
栗原清文は考える。
己の幸せは、いつまで続くのだろうか、と。
両親の幸福は、永遠には続かなかった。
彼らと同じような存在たる己は、彼らと同じように、いつか何もかも失ってしまうのではないか──
「……何、暗い顔してるのよ」
その声に顔を上げると、むすっ、と不機嫌そうな顔をした妻が立っていた。
栗原琥珀は、肩甲骨辺りまで伸びた金茶色の髪を揺らし、青いエプロンに身を包んで清文を見下ろす。
素直じゃない彼女は、怒っているように見えて、きっと心配してくれているのだろうな……と、清文は笑った。
彼女が、清文の
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