ファンディスク:神話と勇者と断章と
エターナル・ミィス
■years after
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
SAOでも。無事共に生還したあとの現実世界でも。
手を繋ぎ、笑いあい、睦語を交わし、肌を重ねた。
SAOで最も甘ったるいカップルは誰か、と、生還者達に問うたならば、「《黒の剣士》と《閃光》、あるいは《神話の勇者》と《剣巫姫》」と答えるほどに。
ならば当然だった。
二人は、アンダーワールドの動乱を契機とする、SAO事件の完全集束とほぼ同時に、結婚した。
イギリスの名家であるシャルラッハロート家の意向は、無視した。伽藍とソラシャは、駆け落ちしたのだ。
やがて、子どもにも恵まれた。
一人目は、小波と名付けられた。世界にどんな小さいモノでもいいから、変革を成し遂げる波を起こせるように、という意味だった。
二人目は、清文と名付けられた。どんなに辛くても、どんなに迷っても、透明に、純粋に、自分の物語を歩いてほしい、という意味だった。
姉弟は、すくすくと育った。姉はソラシャに似て聡明に。弟は伽藍に似てやんちゃに。
伽藍にとって唯一の不満があるとすれば、二人ともほぼソラシャの外見特徴を受け継がなかった事だが、彼女は二人が、伽藍との子どもであることだけで、幸せだ、と語った。
だが、彼らには、『永遠』が訪れることは無かった。
もしそれを、誰かが……『今』の誰かが知っていたのであれば。
「遅すぎた」、と、言うのであろうか。
――――侵攻が、食い止められなかったのだ。
何の?
もちろん、《白亜宮》の。
歴史の流れが、違った。
『今』とは、流れが違ったのだ。
SAOが、完結するよりも前に完結した『ジ・アリス』ではなく。
SAOが終わってから遥か未来に完成した『ジ・アドバンス』でもなく。
『ST000 パンドラ』は、SAOの動乱が潰えてから、六年後に覚醒した。
誰も、止められなかった。
或る時気が付いたら、世界は完全に白き少年神のモノになっていた。完全に《レギオン》の傘下に収まるということは、世界はそのレギオンに消費されるための燃料として扱われる、ということだ。
つまらない、と考えた少年神は、世界中の英雄たちに力を与えた。
勇者と剣巫にも力が与えられた。抗う為の力だ。
けれど。
二人が抗うことは、無かった。
抗ったとすれば、それは。
「いいか、二人とも、しっかり生きるんだ」
「大丈夫、きっと、上手くいくわ」
二人が。二人の愛の結晶を、別の世界に逃がしたことだろう。
彼らは、変えたのだ。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ