ファンディスク:神話と勇者と断章と
エターナル・ミィス
■years after
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「そうだな。でも、俺も知らない」
ねぇ、清文。と、姉は続ける。
その清文とほぼ全く同じ顔に苦痛を乗せて、言う。
――――俺もね。知らないんだ。父さんと母さんが、どういう人で、どこに行ったのか。
***
栗原伽藍は、もとは何て事の無い一介の15歳であった。
2000年代に日の本の国に生まれ、何ともいえぬ地味な毎日を送っていた、ただのどこにでもいる少年だった。
だが彼の人生は、ある事件を境に大きく変わる事になる。
後に、『人類史上最悪のサイバーテロ』と呼ばれる事になる、『ソードアート・オンライン』事件の勃発である。
伽藍は、SAOにログインしていた。
βテストに当選していた。
デスゲームにとらわれた彼は、しかし持ち前の明るさと、天性のVRMMO適正で瞬く間に強くなっていった。
『アインクラッド第50層攻略までに八百万体の”適正レベル”モンスターを殺すこと』を習得条件とするユニークスキル、《神話剣》の所有者にも選ばれた。
そんな彼のSAOライフを、大きく乱す存在が現れる。
金色の髪。青色の瞳。研ぎ澄まされた西洋剣を思わせる鋭利な美貌。文句のつけようのない美少女。
名前を、ソラシャと言った。
伽藍は、彼女に惹かれた。理由やきっかけは、よく覚えていなかった。気が付いたら、ソラシャのことが好きだった。
その綺麗な髪が好きだった。その純粋な眼が好きだった。その柔らかい肌が好きだった。その美しい唇が好きだった。その透明な声が好きだった。刃物のようなまなざしも含めて、何もかも。
最初は、最悪の出会いをしたような覚えがあったが、それでも好きになった。
同じように、ソラシャ……ソラシャ・シャルラッハロートもまた、ガラン/栗原伽藍という男に惹かれた。
嫌いで、嫌いで、大嫌いで。目の前からいなくなって欲しいと何度も思ったのに。
或る時気が付いたら、大好きになっていた。
ソラシャは、素直になれない少女だった。SAOにログインした当初14歳だったという、その幼さも関係していたのかどうかは分からない。だが少なくとも、彼女は伽藍への好意を、明確にぶつけることは出来なかった。
辛いことを言った。暴言を吐いたり、暴力を振るったりもした。何度も何度も、伽藍に嫌な思いをさせた。
でも、そんなソラシャの事を、伽藍はいつも最後には笑って許す。そんな態度をとられて、ソラシャはある日、堪え切れなくなった。
そこから先は、もう予定調和に等しい。
ソラシャはこれまでの反抗的態度が何だったのかと言わせんばかりに伽藍に甘え、伽藍もまたソラシャを愛し続けた
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