エイプリルフールIF 【ワルブレ編】
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そこの入り口を盛大に破壊して転がりながら中に入る。
「大丈夫かっ!まーやっ」
「め、めがまわるのでふ…」
「それだけ言えれば大丈夫だな」
ようやく混乱から立ち直ったまーやが気遣わしげに声をだす。
「あ、蒼は大丈夫なのです?っ…その傷はっ」
すぐさま闇術で癒そうとするまーやの目にはずたずたに引き裂かれた蒼の背中が映った。
「ダメだ、時間が無い」
まーやの闇術を制した蒼は視線を入り口に向けると獣の影が近づいてきた。
それを見るなりすぐさま蒼は印を組んだ。
「分身の術」
ボワワワンと現われるのは無数の蒼。
「ええっ!?幻影の像っ!?(ファンタズマル ヴィジョン)」
闇術に光学的幻影を作り出す術があるが、光技では実現されていないそれ。
次いで蒼は自身の胸元にあるドッグタグを引き千切るように握り締め、通力を込めた。
亜鐘学園の生徒なら誰でも、蒼も首から下げている認識票。これに白鉄のつかう通力、黒魔が使う魔力と呼ばれるエネルギーを込める事で生前使っていた愛用武器を再現できるアーティファクト。
が、このままでは蒼には使えない。
蒼は自身の背中に手を当てて滴る血液を指に集めると再び印を組み上げ、その手のひらでドッグタグを再び握り締めた。
「来いっ!ソルっ!」
ドッグタグがいつしか宝石に変わっていた。
「ソルっ!」
呼びかけても返ってくる言葉は無い。
「まさか魔力不足かよっ!リンカーコアがまだまわってないからかっ」
入り口から入ってきたケルベロスは複数の蒼を見るや飛び掛り、遠方に入ると見れば今度は口から炎弾を吐き出していた。
「まーや、よく聞け。今からあいつの敵愾心をあおる。俺があいつを連れて出て行くからそれまでまーやは隠れていろ。大丈夫、まーやにあいつの攻撃は当てさせないさ」
「で、でもっ!」
まーやの言葉は最後まで聞かず蒼は物陰から走り出していった。
クソッと蒼は心の中で舌打ちをする。
リンカーコアがまだ覚醒しない。
廻すための魔力が足りないからだ。
権能がまだ機能しない。
権能を自在に使う感覚がまだ肌に染み渡っていない上に、実際はまだ精孔が開ききっていなかったからだ。
同じ理由で万華鏡写輪眼も使えない。
ぎりぎりでようやく写輪眼が使えるようになった程度。
蒼の目が赤く染まった。
写輪眼だ。
とりあえず、それだけでも相手の動きを見逃す事は無い。
ケルベロスはついに蒼の分身を全て片付け、今度こそはと蒼のにらむ。
対する蒼は背中に大きな傷を背負い万全とは行かない状況。
素早く蒼は印を組む。
「火遁・豪火球
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