第十話 追跡の風、黒き帳
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い!!」
爆走からの跳躍。俺は宙に浮き、幾つかの道を通りすぎ……
「ハァッ!!」
連刃からの着地ゼロ爆走。
敏捷の限界を越えてアスナを抜くと、剣ごとキリトを刺していた男を吹き飛ばす。
「フン……」
刀を六本構えた俺はキリトを見る。それと同時にアスナも追い付き、キリトに近付く。
「……間に合った……間に合ったる……神様……間に合った……」
その声は美しく響く。本能の最中にいる、俺の心にも。
「生きてる……生きてるよね……キリト君……」
「……ああ……生きてるよ」
「アクウンガツヨイモノダナ」
「今のお前よりはマシだと思うけどね……」
連刃の代償に気付いている事を仄めかすキリトに目をそらして言う。
「アスナ、キリトヲタノム。オレハヤツヲ」
「でも……!」
「オレハダイジョウブダ」
言うと、刀を六本、構えて突撃する。
「テメェごときが俺に勝とうなどと!!」
男は両手剣を持つが、それよりも早く男の顔と腕を切り裂く。
「ぶあっ!!」
右腕は欠損し、左手で口を押さえる。一瞬動作を止めると、憎悪の色が顔に浮かぶ。
「て、テメェ……調子に乗りやがってぇ……」
だがその台詞の続きは中断を余儀無くされた。俺が攻撃を再開したからだ。
「おっ……くぉぉ……!」
「ムダダ」
両手剣を必死に使ってガードするが、それも片手が無ければないに等しい。
俺は容赦なくその体に傷を与え続ける。
「わ、解った!!わかったよ!!俺が悪かった!!」
男が叫ぶ。
「も、もうギルドは辞める!あんたらの前にも二度と現れねぇよ!!だからーーー」
「ナラバオソウアイテヲマチガエタナサイジャクノクズガ!!」
怒りを露にそれを放つ。
連刃重二連続攻撃『ブライニクルブレイド』。
それは十字に放たれ、男のHPを吹き飛ばした。
「この……人殺し野郎が」
くくっ、と笑い。
男はその存在を硝子片に変えた。
「クウト君……」
遅れてきたクレイが、その声を発した。
「クレイ……」
手を伸ばそうとして、止めた。
今さわれば、文字通り『壊してしまうかも』知れないから。
「アスナ……キリトヲタノム」
「う、うん……」
おれはそう言うと、迷宮区の方へ走る。
「ハハッ、ツイニココマデキテシマッタカ……」
連刃の代償、それは精神の変質。
製作者である俺はその様に設定した。何故か?どうせ使うのは俺だと分かっていたからだ。
最大の攻撃速度を持つのはこの世界に置いてただ俺一人。他には誰もいない。
連刃は使用者の精神を乗っとる代わりに強大な力を与える。最終的に、それはモンスターのAIとなんも変わらなくなり、唯の殺人者へとその身を変貌させる。死を貪る獣。今の姿はまさにそれだ。もう連刃を使用しなくてもその在り方が変わっているのだ。
「あら、いい格好ね
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