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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
人形葬
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と目を覆いたく成るような惨状を呈していたのである。
 フェザーン正規艦隊二個艦隊の定数は三度の戦闘で割り込み、損傷艦も多く使えるのは半個艦隊程度。
 本来五個艦隊を編成する維持力があり艦艇生産もフル稼働でやっているのだが、首星にまで帝国軍が来れるような状況ではとにかく時間が足りない。
 で、艦艇以上に払底しきっていたのが人員だった。
 帝国内戦で海賊たちが消え、新世代の海賊たちが出る前にこの戦いが始まり彼らを強制徴用して送り込んでもまだ足りない。
 さらに育成していた人員も生き残った連中までまとめてエックハルト会戦で失ってしまったのである。

(政治に軍事が振り回されるのは常だが……たまんないなぁ……)

 安全保障面から同盟に依存しつつあったフェザーンの中立性とそれを政権の柱にしていたルビンスキー自治領主は、同盟への交渉の駒として主戦場から外れたエックハルト星系で警戒していたラインハルト艦隊に目をつけたのだ。
 近年の同盟軍最大の敵である彼を討てば同盟へのいい手土産になるし、フェザーン軍と合わせた三個艦隊ならば負けないだろうと傭兵艦隊(中身は同盟軍)もそれに賛同。
 結果がこのザマである。
 戦略的にまったく価値の無いエックハルト会戦は、数で劣っていたラインハルト艦隊が防戦と逃走に徹し、行動限界をギリギリ超えた所でアイゼンヘルツ星系に帝国艦隊襲来の報告が届いてフェザーン軍が動揺し、撤退しようとした所を叩き潰されたという敵ながらあっぱれ言いたくなるような戦いだった。
 なお、追撃戦では高速戦艦がその火力と高機動で暴れ回り、星系に伏せていた単座戦闘艇が猛威を振るったという。
 フェザーン軍42000隻対帝国軍15000隻の戦いは、フェザーン軍が20000隻近くを失う大惨敗となり、その半分が敗走時に燃料不足で降伏したという情けなさ。
 傭兵艦隊はこの戦いでも殿として多くの艦艇を逃がした結果、12000隻中帰ったのは3000隻程度しかなかった。
 政治に振り回されて戦略的要地を放棄し、傭兵という立場だから雇い主のフェザーンに物が言えず、言っても聞いてもらえずのこの惨敗にはっきりと同盟は現在の支援の限界を悟った。 
 だからこそ、同盟はフェザーン内部に親同盟政権樹立の必要性を感じ、その内部工作を行うことを秘密裏に決定していたのである。
 で、その工作司令官の一人が、めでたく昇進したヤン准将である。
 本人はまったくめでたくなかったが。

「このたびは、私達の為にお集まりいただきありがとうございます。
 私達の父は、人の友として私達を作り、人を支える喜びを教えていただきました。
 失った悲しみは大きいですが、それで多くの人を救えた事を私達は誇りたいと思います」

 式典の演説で、緑髪の代表者が悲しそうな顔で演説を続ける
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