6部分:第六章
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のは本当に今までなかったことであった。
「服を着る意味がもっと出て来たし」
「そうですよ、じゃあ今から」
「行く?お店に」
「はいっ」
千佳は朗らかな笑顔だった。それはそれでピンクハウスに似合っていた。
「じゃあ一緒に」
「ええ。それでね」
先生はここでまた言う。
「このお店いいでしょ」
「ええ、とても」
「商店街の人には結構有名だけれどうちの学校の生徒は知らないのよ」
「そうだったんですか」
これは意外なことだった。千佳も聞いて驚きであった。
「それはまた」
「だから。何かあればここでね」
「はいっ」
明るく挨拶をする。そうした場所があるのならかなり都合がよかった。千佳にとっても。
「これからが楽しみになってきたわ」
「私もです」
二人は笑顔で言い合う。
「一人で楽しむよりもね」
「まずは二人で、ですよね」
「そうね。じゃあ今からまた行くのよね」
「はい、そのつもりです」
また明るく先生に言葉を返す。
「勿論一緒に、ですよね」
「御願いできるかしら」
「先生、それは私の台詞ですよ」
また笑って言うのだった。
「だって。私が生徒なんですから」
「ふふふ。そうね、それじゃあ」
「御願いします」
こうして二人は喫茶店を出てピンクハウスに向かった。先生の顔は千佳と同じ晴れやかなものになっていた。一人より二人、そして楽しむことこそが何よりも大切だとわかったからだ。迷いがなくなったその顔は今まで最も奇麗な顔になっていたのだった。
ピンクハウスでもいい 完
2007・10・1
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