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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第九話 俺と、私にできること 前編
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に、俺は心の奥から喜びの感情が溢れてくるのを感じた。

 ああ、美味しいって言ってもらえるのって、嬉しいんだなって。

「……そうか」

 俺は始めて感じた、その幸せな気持ちを抱えて台所へ向かう。

 俺も、その幸せの輪に混ざりたいと思ったから。

「黒鐘、おかわり」

「早いしその細い体によく入るな」

 そんな空気を様々なトラブルで壊した雪鳴のことは、取り敢えず無視することにした。


*****


 食事を終えた俺達の空気は、結局緊張感のあるものに変わった。

 雪鳴は味方で、金髪の少女は敵。

 そんな距離感が、俺たちに見えない壁を作っていた。

 俺は全員分の紅茶を用意し、話しを始めた。

「まずは自己紹介からだな。 俺は小伊坂 黒鐘。 所属は時空管理局・嘱託魔導師」

「管理局……」

 その名を聞いて納得し、そして敵意の眼差しを強めてきた。

 やはり彼女は管理局に対して疚しい行為をしていたらしい。

「君の監視を担当させたのは逢沢 雪鳴。 今のところ彼女は民間協力者ってところかな」

「逢沢 雪鳴。 よろしく」

 言葉数少ないながらも、雪鳴は会釈混じりに挨拶をした。

 自己紹介が済んだところで、次は彼女の番だ。

 俺はアマネが録音を開始したのを確認し、質問を始めた。

「君の名前は?」

「……」

「年齢は?」

「……」

「出身世界、出身地は?」

「……」

「好きな食べ物は?」

「……」

「今日一日で何回お腹が鳴った?」

「っ!?」

 なんて冗談に対して、殺気混じりの視線が俺に向かって一直線。

 対して俺は一切表情を変えず、ようやく反応が返ったことにだけ安心する。

 やっぱり精神的には俺たちと同世代なだけあって、幼いから恥ずかしいことには強い反応を示すらしい。

 だけど名前すら明かさないということは……。

 俺はいくつかの予想の答え合わせをするために質問を続ける。

「今回のジュエルシードについて、君以外に関わっている人は誰だ?」

「……」

「質問を詳しくしよう。 民間人は何人だ? 魔導師は何人だ?」

「……」

「好きな色は黒? 白? 赤? 青?」

「……」

「今日の下着は黄色と黒のストライプ?」

「なんでそれを……ッ!?」

 そこで俺は不敵な笑みを浮かべる。

 片方の頬を釣り上げ、してやったりの笑である。

 当然、彼女は恥ずかしそうに頬を赤く染め、先ほどと同じように睨みつけてくる。

 ちなみに隣で雪鳴が『私は白と水色』と言っていた気がするが、何が白と水色なのかは考えないでおく。

「は、嵌
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