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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第九話 俺と、私にできること 前編
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指摘に彼女は顔を真っ赤にして俯く。

 恐らくさっき、雪鳴といた時にお腹が鳴ったことを思い出してしまったらしい。

 まぁ俺も雪鳴に聞かされた時は『あ〜うん、キツいよね』と心の底から同情したけどさ。

「……毒は入ってない?」

「じゃがいもには毒があるかも」

「っ!?」

「雪鳴、このタイミングでそういうのは冗談でも言わないで欲しかった」

「もぐもぐ……これは失敬」

「あと食べながら喋らない」

 俺の注意に雪鳴はリスのように頬を膨らませながら頷く。

 無言で食べているから不味くはなかったらしいけど、毒に関しては言わないで欲しかった。

 ほら見てよ、物凄い目でこっちを睨みつけてるよ彼女!

 空腹でお腹が鳴るレベルで、良い匂いがするカレーを前にして毒入りとか言われたらそりゃキレるよね!?

「じゃがいもの芽に毒はあるけど、ちゃんと取り除いたし加熱もしてるから大丈夫。 それで入ってるなら雪鳴が今頃、喉を抑えながら倒れてるから――――」

「んぐっ!?」

 と、急に雪鳴は苦しそうな声を上げて倒れた。

 しかも喉の辺りを抑えながら。

「ホントに毒が……」

「入ってないから!」

 俺は慌てながら雪鳴の顔を見ると、青ざめて瞳孔が開いている。

 ……うん、喉に詰まらせてるね。

 俺は呆れながらコップに入った水で流し込ませた。

「はぁ、はぁ……死ぬところだった。 冷や汗が止まらない」

「俺はお前のタイミングの悪さにさっきから冷や汗が止まらないよ」

 毒入りと良い、喉を詰まらせるといい。

 ホントに雪鳴のせいで金髪の少女、さっきからとてつもなく警戒してしまった。

 ここまで来ると、もう打つ手がないわけで……。

「……コンビニでなんか買ってくるか」

 幸い、まだ俺の分は用意してないから彼女の分を貰うとして、何も食べさせないわけにもいかないので安心安全のコンビニを使う事にしよう。

 俺は立ち上がり、財布を取りに自室へ向かう。

「あ、あの!」

「ん?」

 そんな俺の背後から、呼び止めるように金髪の少女の声が放たれる。

「その……」

 俺は彼女の方に向きを変え、彼女がしっかりと言葉を紡ぐのを待つ。

「えと……い、行かなくて、いい」

「ご飯はどうするんだ?」

「これで、いい」

 そう言って俺の作ったカレーを指差し、俺の返事を待たずにスプーンでそれをすくう。

 そして口に含み、飲み込んだ。

「……美味しい」

 ボソっと、本当に小さい声だけど、彼女はしっかりと感想を述べてくれた。

 そして二口目、三口目と、ゆっくりだけどちゃんと食べ始める。

 その姿
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