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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第九話 俺と、私にできること 前編
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帰ってきたようね」

「……誰が?」

 彼女が視線を変えた。

 本来だったらそこが私にとって最大の隙であり、全力で逃げられたであろう唯一のチャンスだった。

 けれど気が動転してそこにまで思考が行かず、結果として監視の目が一人から二人と言う、最悪の事態になった。

 そしてこの部屋と外の部屋を仕切る襖が開き、彼が現れた。

「ただいま……と、おはようかな?」

「……」

 私を監視していた少女が、確かクロガネと呼んでいたその人。

 彼は私が起きていることに気づくと、なぜか安心した表情になる。

 その真意は分からないけど、警戒していた私の心が少しばかり緩んだ気がした。

 それほどまでに彼からは敵意が感じられない。

「黒鐘。 この人、空腹」

「な……!?」

 なお、私が空腹の鐘を鳴らしたことはすぐにバラされた。


*****


 帰宅後すぐ、俺は台所に立つことになった。

 手には包丁、目の前には木のまな板と様々な野菜。

 その奥には料理本が置いてあり、これから作る料理のページを開いている。

 取り敢えず初心者でも可能、そして嫌いな人がほぼいないであろうカレーライスを作ることにした。

 本を何度も何度も確認し、探り探りで野菜を切っていく。

 幸い、刀を使う身だから綺麗に切るのは慣れてる。

《マスター、まな板まで切らないでください》

 ……前言撤回、包丁は苦手です。

 なんて注意を受けつつ食材を切り終え、鍋で肉を炒めたり野菜を炒めたりの作業や水をいれて煮込んだり。

 途中、米を炊き忘れたのを思い出して軽く慌てたが、最近の炊飯器は便利で、炊き上がるのに数十分で終わる設定があった。

 時代の流れと、この炊飯器をチョイスして送ってくれた仲間達に心から感謝しつつ、完成。

 何とか人生初のカレー作りを終えた俺は、雪鳴と金髪の少女の二人分の皿を用意し、ご飯とカレーを分けるように入れてテーブルに運んだ。

「はい、どうぞ」

「うん、いただきます」

「……」

 雪鳴は少し驚いた様子でカレーを見つめ、金髪の少女は無言で俺を見つめた。

「どうした? もしかしてカレーって苦手か?」

「何で私の分も用意したの?」

 俺の質問を無視し、彼女は一方的に質問してきた。

 しかも鋭い目つきで睨みつけてくるものだから俺は文句も言えず、ただただ彼女の質問に答えることにした。

「腹減ってるんだろ? 雪鳴と俺の分だけ作るなんて器用なことできないから、余った分を君の分にしたってだけだよ」

「敵なのに?」

「聴取中に腹が鳴り続けられても困るだろ、お互いにさ」

「っ!」
   
 俺の
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