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過ぎ去ったもの
第五章
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「そなたの責ではない」
「有り難きお言葉」
「しかしだ」
 ラムセスは許した、だがだった。
 ファラオはだ、あらためて言ったのだった。
「その馬に乗っている兵達のことはだ」
「アッシリアのですね」
「しの者達のことを調べよ」
 こうラムセスに命じた。
「街に戻りな、しかしまことに驚いた」
「馬に人が乗って戦うことは」
「乗るだけでも見たことも聞いたこともない」
 彼等のいるエジプトではというのだ。
「その様なことが出来る者なぞな」
「しかしです」
「アッシリア、どういった者達か」
 ファラオは深刻な顔で玉座から言った。
「全く以てな」
「わかりませんか」
「うむ、しかし強いことは間違いない」
「では」
「これからは下手に戦わないことか」
 攻めずに守りを固めようというのだ、そしてだった。
 ファラオはラムセスに前線基地となっている街に戻らせてそのうえで守りを固めたうえで彼等のことを調べさせた、ラムセスはあっシリアの方に密偵を送ってだった。
 彼等について調べた、そしてわかったことは。
「あの者達は馬に乗りか」
「はい、戦場で我々も見ましたが」
「その様にしてです」
「実際に戦います」
「他の戦場でも」
 そうしているというのだ。
「あの弓矢を使い」
「そして剣以外にもです」
「槍という長い刺す武器も使います」
「戦車もありますが」
 それでもというのだ。
「主力はそちらです」
「歩兵もありますが」
「彼等の主戦力は馬です」
「馬に乗った兵達です」
 あの弓矢等を使う彼等だというのだ。
「あの者達を主戦力として戦っています」
「そのうえで戦車や歩兵で戦う国々を倒していってです」
「今や破竹の勢いです」
「まさに無敵です」
「そうか、やはりあの者達が主戦力か」
 ラムセスは戦場のことを思い出して言った。
「強いからな」
「では将軍」
「我々はこのままですね」
「この街の守りを固め」
「攻めることはありませんか」
「うむ、敵が攻めてきてもだ」
 周りの士官達にだ、ラムセスは答えた。
「それでもだ」
「ここは攻めず」
「そしてですね」
「守りを固めますか」
「敵が来ても」
「そうする、この城に来てもだ」
 それでもというのだった。
「この街は守り抜くぞ」
「ファラオの為にも」
「エジプトの為にも」
「そうする」
 ラムセスは断固たる意志で言った、そして実際にもう攻めることはせず城の守りに専念した。城の守りを固め城壁も改築しより強固にしたうえで。
 するとその状況を見たのはアッシリアは彼等の街は攻めなかった、だが。
 アッシリアは多くの国を攻めて勝ち続けていた、戦車と歩兵で戦う国々に。
 それでだ、ラムセスは街の中で苦い声で言った。

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