第六章
[8]前話
「景色も見ような」
「それじゃあね」
「ああ、じゃあな」
二人で話してだ、そしてだった。
実際にだ、二人は。
そのアイスコーヒーを飲んだ、それからだった。
安奈はストローから伝わったコーヒーの味についてだ、令に言った。
「確かにね」
「美味いだろ」
「ええ、かなりね」
「これでかなり学生割引効くんだよ」
「それはいいわね」
「この美味さでだよ」
「かなり飲みやすいわ」
そのコーヒーをまた一口飲んで言った安奈だった。
「どんどん飲めるわ」
「大人な雰囲気もするだろ」
「そうね、コーヒーだからね」
安奈は令の今の言葉にはくすりと笑って返した。
「やっぱりね」
「コーヒー飲んでるとな」
「大人ってね」
「小学生の時とか思うけれどな」
「実際にそうよね」
「ああ、そのこともあってな」
令もそのコーヒーを飲みつつ言った。
「ここに連れて来たんだよ」
「大人のね」
「それでな」
「ええ、外もよね」
「こうしてよく冷えた美味いコーヒーを飲みながらな」
笑いつつ言う令だった、その窓のところに顔を向けつつ。
「見るんだよ」
「外をね」
「草に花に空にな」
そしてだった。
「海もな」
「確かにね、海もね」
「いいだろ」
「ええ、最高の気持ちよ」
「暑い思いしてここに来た介あっただろ」
令は今度は安奈に顔を向けて言った。
「そうだろ」
「まあね」
「じゃあ桜とかガジュマルなしだな」
「そうね、なしにしてあげるわ」
安奈もまた令を見ていた、そのうえで笑みを浮かべて答えた。
「ただね」
「ただ?」
「ここまた連れて来て」
こう安奈に言ったのだった。
「いいわね」
「そう言うのかよ」
「最高の場所だからよ、だからいいわね」
「ああ、まただな」
「一緒にね」
「わかったよ、じゃあまたな」
「ここに来ましょう」
「二人でな、じゃあ夕方になったら」
日が落ちて日差しが弱まり幾分温度が下がってからというのだ。
「帰るか」
「それまではなのね」
「ここにいような」
「コーヒーもお店の中も景色もなのね」
「楽しもうな」
「そうさせてもらうわね」
安奈は令の言葉ににこりと笑って返した、そしてだった。
二人は今はだった、二人で店の中で楽しめる全てのものを楽しんでいた。コーヒーの味も店の雰囲気もクーラーの涼しさも景色も。コーヒーから感じられる大人の雰囲気もその中にあって炎天下の暑さと苦しさは今は忘れてその中で心ゆくまで楽しんでいた。
炎天下 完
2016・1・15
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