第二章
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「そうしてるさ」
「それか素直に海かプールに行くか」
「どっちかだよ、だからな」
「今日はなのね」
「いい場所に行くんだよ」
海のというのだ。
「いいよな」
「わかったわ、まあ変な場所じゃないなら」
それならと答えた安奈だった、そのうだる様な暑さの中で。周りからは虫の声が雲一つない空からの日差しと合わさって嫌になる位五月蝿く聴こえてくる。それがさらに暑さを煽っている。
「いいわ」
「よし、じゃあ行くか」
「それじゃあね」
「ああ、これからな」
「それでこれからどれだけ歩くの?」
「一時間半位だよ」
令は安奈に答えた。
「それ位だな」
「ここからなの」
「ああ、一時間半だ」
「長いわね」
その時間、そしてそれだけ歩く距離から考えてだ。安奈はうんざりといった顔で返した。
「それはまた」
「ああ、けれどな」
「それでもなのね」
「これは俺が言うけれどな」
令は安奈と共に歩きながら話した。
「凄くいい場所だからな」
「それでなの」
「そうだよ、一時間半かかってもな」
それでもというのだ。
「行く価値はあるんだよ」
「本当に?」
「そうだよ、だから行こうな」
「正直帰りたいけれど」
これが安奈の偽らざる気持ちだった。
「それでもなのね」
「行く価値はあるからな」
炎天下の沖縄を一時間半歩くだけのというのだ。
「安心してくれよ」
「だといいけれど」
「じゃあ行こうな」
「わかったわ」
安奈は令の言葉に頷いた、とはいっても彼の言うことを完全に信じているかというとそこは甚だ疑問である、
だがそれでもだ、令があまりにも強く言うからだった。
彼についていくことにした、だが。
日差しはさらに強くなりだ、二人が歩くアスファルトの道もだ。
少し先に水溜まりの様な錯覚が見えてだ、そして。
そのうえでだ、蜃気楼めいたゆらぎがさらに強くなっていた。当然ながらかく汗もこれまで以上に多くなっていてだ。
安奈は持っていたバッグからだ、帽子を出して被った。」
そのうえでだ、令にも言った。
「あんたもよ」
「帽子か」
「これだけ日差しが強いとね」
「一時間半も歩くとな」
「日射病になるわよ」
そうなるからだというのだ。
「ちゃんとね」
「帽子を被れか」
「そうしないと」
「そうだな、じゃあな」
令は安奈の言葉を受けてだ、そしてだった。
懐からタオルを出して頭に巻いてだ、それで安奈に言った。
「これでいいな」
「まあ帽子がないならね」
「こうしてな」
「頭守ればいいからね」
「そうだよな」
「とにかく日射病にはならないことよ」
くれぐれもというのだ。
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