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2013年某日夏
戦車道大会決勝戦
朝から降り続いていた雨は試合開始と同時に一段と激しさを増していた。決勝戦まで上り詰めた黒森峰は最後の相手であるプラウダ高校との試合に望んでいる。
だが、その日に限り悪いことが多発した。一個は西住まほの風邪による欠場である。そのため臨時として妹の西住みほが隊長となっていた。
そして彼女の目の前で二個目の不幸が訪れることとなる。
「第一小隊は予定通りの進路を通ってください!」
『了解です』
無線で指示を行っていたみほはふと前方の戦車を見た。みほの乗るフラッグ車を守る様に前を進む戦車には、彼女の親友が乗車していた。
すると前方の戦車から敵発見の知らせが届いた。雨足が強くなるなかみほは無線にて交戦を指示しようとした。その瞬間、彼女の目の前で最悪の事態が発生してしまう。
『キャァァ!!』
「!!」
突然岩肌が爆発し戦車が土砂と一緒に川へと滑り落ち始めたのだ。
「くっ!!」
みほは無線を切ると一目散に流れ行く戦車へと走った。だが、水を吸い柔らかくなった地面に足を取られ中々たどり着けない。
その間にも戦車は荒れ狂う川へと落ちていく。
「ああっ!!」
そして遂に戦車は川へと転落してしまった。重量のある戦車は川へと沈んでいく。
みほも濁流をものともせず川へと飛び込んだ。濁流を掻き分けながら何とか戦車へとたどり着くが、半分ほど沈んだ戦車は川に流され始めた。
みほは潜ると砲塔の横にあるハッチをこじ開けようとする。だが水の重さで中々開かない。すると突然戦車が激しく揺れたかと思うと思わず手を放してしまった。
「!!」
そのまま戦車は濁流にのまれ流されていった。すると後ろで爆音が聞こえた。振り向くと自分の乗っていたフラッグ車が黒煙を上げている姿だった。
「・・・」
みほは無言のまま川から上がると黒煙を上げるフラッグ車を見た。無線からはしほかまほの怒りの声が聞こえたが、耳には全く入らなかった。
ふと、誰かの視線を感じたみほはある方向を見た。そこには人がいた。それも複数人。審判かと思ったがよく見ると迷彩服を身にまとい肩から小銃を下げている。
「・・・!!」
みほがその方向に向け走り出そうとした途端、迷彩服の集団は森の奥へと消えていってしまった。
負傷者四名、死者一名が出たこの事故は後に「黒森峰事故」と呼ばれ、みほの大洗女学園転校のきっかっけにもなった事件である。
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