第二章
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二人が出したお茶を有り難うと言って受けてだ、それから話しはじめた。
「歌舞伎の定番よね」
「その一つですよね」
「十八番と同じ位」
「しょっちゅう上演してますし」
「かなり有名な作品ですよね」
「私も何度か観たわ」
その舞台をというのだ。
「仮名手本ね」
「はい、その仮名手本です」
「仮名手本忠臣蔵のことですけれど」
「先輩私達より歌舞伎に詳しいですし」
「舞台もお好きで」
「旦那はアイドル系だけれどね」
琴乃は笑って自分の夫の話も入れた。
「三十五でAKBとかももクロとか言ってて」
「そうなんですか」
「ご主人はアイドルですか」
「男の人って幾つになってもアイドル好きっていいますけれど」
「ご主人もですか」
「そうなの、まあ私もアイドル嫌いじゃないけれど」
それでもというのだ。
「そこは気になってるのよ」
「中年のアイドル好きはですか」
「AKBとかももクロとかいうのは」
「モー娘。も応援してるし」
「ご主人多彩ですね」
「色々と興味がおありなんですね」
「そうなの、とにかく忠臣蔵っていっても」
その忠臣蔵に話を戻してだ、また言う琴乃だった。
「あの作品長いわよ、どの場の話なの?」
「はい、定九郎です」
「あの浪人なんですけれど」
二人は琴乃に先程自分達で話していたこの登場人物の名前を出した。
「あのキャラ何でか人気ありますよね」
「出番ちょっとしかないのに」
「やけに格好よくて」
「いい役ですね」
「あれね、丁度出て来る場がお弁当食べる時で」
歌舞伎では客に弁当も出る、それも料金に出しているうちなのだ。
「そこであえて格好いいのを出してね」
「お客さんの目を引く」
「そういう役なんですか」
「そう、つまりね」
琴乃はお茶を飲みながらだ、二人にさらに話した。
「あの役を最初にやった人がなのよ」
「ああした格好にした」
「それを狙ってたんですか」
「お弁当を食べようとするお客さんの目を舞台に引き寄せる」
「その為にああして格好よくしたんですか」
「それが当たって」
そしてというのだ。
「ああしてね」
「一言だけの役なのに」
「いい色悪になった」
「そういうことよ、面白いでしょ」
「はい」
二人は同時にだ、琴乃に答えた。
「そう聞きますと」
「確かに」
「しかもあの役舞台裏があって」
「舞台裏?」
「と、いいますと」
「忠臣蔵は裏話が多いのよ」
このことは歌舞伎でも浄瑠璃でも映画でもだ、人気があるせいかとかくそうした後付けにもなりそうな話も多いのだ。
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