5部分:第五章
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「それが一番可能性ありそうだな」
「甘いな、それは」
また不敵な言葉を返してきた。妙に乗っているのが本当にわかる。
「一番可能性があるのはな」
「御前が勝つってことか?」
「その通りだ」
不敵な笑みがまたしてもその顔に浮かぶ。何か完全に一昔前の東映の特撮ものの悪役になってきていた。今でも戦隊ものではいそうな顔であった。
「どうだ、驚いたか」
「ああ、何か呆れたぜ」
心からそう思って述べた。
「今の言葉にはな」
「負け惜しみはいいぜ」
「そう取るか?」
これには浩太だけでなく他の皆も呆れてしまった。
「そのうち悔し涙に変わるからな」
「おい坂下」
浩太は卓の名を呼んだ。
「御前最近DVD買っただろ」
「何でわかったんだ?」
図星であった。卓はそれを言われて顔をキョトンとさせてきた。
「わかるさ。その言葉使いからな」
「そうなのか」
「それで東映かビープロの特撮もの集めてるだろ」
「ああ」
これまた図星であった。道理で言葉使いがそうなる筈であった。実にわかりやすい話であった。もっとも特撮ものや時代劇といったものはあえて印象的な台詞を使うのですぐにわかるのである。実際にもっと凄いのは現実にそうした特撮ものや時代劇の悪役そのままの悪党が世の中にいるということである。ショッカーや死ね死ね団のモデルはとあるテロ支援国家であるとまことしやかに囁かれているがこれは真実であろう。
「わかったか」
「ああ。それじゃあ俺はあれか」
彼は言ってきた。
「正義の味方か?科学戦隊の」
「そう取ってもらってもいいぞ」
「何だ、悪役でいいのかよ」
浩太は卓の言葉を聞いて意外に思った。
「それで」
「それがいいんだよ」
どうやら彼は悪役マニアであるらしい。そう返してきた。
「悪役がいないと盛り上がらないだろうが」
「まあな」
その通りである。そもそも悪役に華がなくては作品は盛り上がらないのである。最近のある作品は主役同士の葛藤や対立を描くがこれはこれでいいのである。その作品の原作が同族同士の争いや人の負の感情、異形の者を描いてきているからである。だからいいのだ。
「だからだよ」
卓はそれを述べる。
「俺は悪役でいいんだ」
「じゃあ負けるんだな」
浩太は今度はこう言い返した。
「悪役らしく」
「いや、勝つ」
本当に悪役らしくニヤリと口の片端を歪めて笑ってきた。太ってはいるがその顔が見事なまでに悪役のそれになっていた。
「今度は悪が勝つんだ」
「そうか、じゃあそうしな」
浩太も乗っている。それならそれでいいと思った。
「じゃあ賭けるのは」
「地球ではなく大吟醸で」
何か賭けるものはやけにせこいがそれでもよかった。元々遊びであるからだ。
「勝負はじめだな」
「
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