第一章
[2]次話
モロク
バチカンにおいてだ、緋色の衣を着た枢機卿の一人が議論の主となってだ。そのうえであれこれと話が為されていた。その話はというと。
「あのモロクという悪魔だが」
「一体どういった悪魔かだな」
「聖書に出ていた」
「そうだ、聖書に出ているからにはだ」
見れば枢機卿以外の者も皆高位の聖職者だ、それぞれ大司教の服を着ている。その大司教達が真剣な顔で話していた。
「存在している」
「そのことは間違いない」
「このことは他の悪魔達と同じだ」
「あの悪魔もいるのだ」
「しかしどうした悪魔か」
「それが問題だ」
実在する悪魔であるにしてもというのだ。
「あの悪魔についてはな」
「うむ、わかっていないことが多い」
「聖書にはあるが」
「果たしてどうした悪魔か」
「悪魔といっても様々」
「あの悪魔がどうした種類か」
その性質のことが問題だというのだ。
「一体な」
「どうも剛力の悪魔の様だな」
「そうだな」
こう話されるのだった。
「力は強い様だな」
「聖書等の話を読んでみると」
「外典や偽典まで調べてな」
「そしてこれまでの悪魔について書かれた書を読むと」
「モロクは力が強い」
このことが確かめられた。
「そうした悪魔だな」
「そして古いな」
「うむ、聖書にもあるしな」
「かなり古い悪魔だ」
「古くそして昔から力もありだ」
「かなりの勢力も持っているな」
「というと魔界でもかなりの力を持つ悪魔だな」
そうした悪魔であると言われだした、ここで。
「では魔神か」
「魔神であることは間違いないな」
「レメゲトンに名はないが」
ソロモン王が使役していたという七十二柱の魔神達について書かれている書だ、悪魔についての貴重な資料でもある。
「間違いないな」
「ベルゼブブやベリアルと並ぶ魔神か」
「やはり相当な力があるな」
「では魔神の中でも相当に強い」
「かなりの存在だ」
その地位のことが確かめられてだ、そして。
ここで枢機卿がだ、大司教達に言って来た。
「皆さん、そのモロクについてですが」
「はい、猊下もですか」
「知っておられることがあるのですか」
「ゲヘナの地において牛頭人身の異教の神がいますが」
「それがですか」
「モロクだというのですか」
「その神は非常に大きな力を持っていたとのことです」
このことから話すのだった。
「それを踏まえると」
「その異教の神がモロク」
「そうなのですか」
「おそらく、そしてです」
枢機卿は真剣そのものの顔でさらに話した。
「その神は生贄を欲していたとか」
「何と、生贄をですか」
「それをですか」
「その様です」
こう大司教達に話すのだった。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ