第四章
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「これはね」
「思いついたんだよ、昨日」
「私と話をして」
「ああ、それでな」
「こうして作ってくれてるのね、雪」
「人工雪だな」
ペドロは積もっていくその氷を見つつ言った。
「まさに」
「そうね、人工雪よね」
「別にそれでもいいだろ」
「そこまで贅沢は言わないわ」
ファナも今はあっさりとしている。
「有り難うね」
「全く、我が儘言ってくれたよ」
「けれど本物は見たいとまでは言ってないわよ」
「そこまで我が儘だったらな」
それこそというのだ、ペドロにしても。
「俺も怒ってるよ」
「そうなのね」
「まあとにかくな」
「ええ、これで雪が出来たわね」
「このマイアミでもな」
常夏で雪が降る筈のない街でもである。
「こうしてな」
「こうした雪もあるってことね」
「そうだな、じゃあな」
「それじゃあ?」
「いや、この雪を撒いたらな」
それが終わったらというのだ。
「また仕事な」
「今日のね」
「今日も頑張って稼ぐからな」
「そして二号店ね」
「その分の金溜めるぜ」
にやりと笑って言うのだった、だが。
その店の雪、氷を粉々にそれこそ結晶レベルまで砕いたそれを見てだった。店の前を通る観光客達がだ。
その雪を見てだ、こう言うのだった。
「あれっ、雪か」
「マイアミなのにか」
「珍しいな、これは」
「人工雪だろうけれどな」
それでもというのだ。
「面白いな」
「アイスクリーム屋だからか」
「如何にも涼しそうでいいな」
「夏に雪か」
「いいじゃないか」
「じゃあ入るか」
「そうしようか」
「あれっ、じゃあ今すぐにな」
ペドロもだ、観光客達の言葉を聞いてすぐにだった。
反応してだ、シャッターを開いて開店した。開店時間より早いが。
そしてだ、店に入ってきた客達にアイスクリームを売りながら一緒に積極をしてアイスクリームを売っているファナに言った。
「意外な展開だな」
「売上にもつながることは」
「ああ、こうなるなんてな」
首をやや傾げさせつつの言葉だ。
「想像してなかった」
「私の我が儘も捨てたものじゃないでしょ」
「日本の諺で言うとあれだな」
「日本の?」
「瓢箪から駒だな」
この諺を出したのだった。
「まさにな」
「じゃあ私のお陰じゃないっていうのね」
「そう思うのは幾ら何でも図々しいだろ」
「そうかしら」
「そうした性格は嫌いじゃないけれどな」
それでもというのだ、雪に誘われて来た思わぬ客達の応対をしながら。だが。
ペドロはこの日から開店前に店に雪を撒くことにした、するとその日から彼の店に客がこれまで以上に多く来てだった。二号店だけでなくファナとの結婚式の為の費用まで手に入った。マイアミの雪は幸福を招くものであ
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