第三章
[8]前話
じっと見張っていた、すると。
一人でいる時もだ、歩き方は変わらず。
仕草も口調もだ、同じで。
自動販売機でジュースを買うにもだった、自分が買いたいものがないと。
「えっ、ないの?」
困った口調と仕草で言うのだった。
「じゃあもう」
そうしてだった、女の子らしい動きでその自動販売機の前を去って別の場所に向かった。悪態をつくことはなかった。
猫や犬を見るとだ、笑顔になり。
店で買いものをしてもだ、店員に。
にこにこといつもの仕草で応対をしていた、それは近所でも同じでだ。
礼儀正しいというよりは女の子そのもの仕草だった、その彼女を暫く見てから。
明奈は仲間内でだ、その聖子のことを話した。
「同じよ」
「同じ?」
「同じ?」
「同じっていうと」
「普段とね」
一人でいる時もというのだ。
「全然変わらないのよ」
「えっ、そうなの」
「全然なの」
「態度変わらないの」
「ずっと一緒よ」
一人の時もというのだ。
「それこそね」
「そうだったの」
「あれが地だったのね」
「そのままだったのね」
「そうだったのよ」
まさにだったというのだ。
「あの娘はね」
「そうだったのね」
「あの娘はあれが地だったのね」
「ブリッ子じゃなくて」
「そのままだったのね」
「そうだったのよ、それでね」
明奈は友人達にあらためてだ、聖子のことを話した。
「悪い娘じゃないわよ」
「あのままだから」
「あれで裏表がないから」
「誰にもそうだから」
「そう、特に悪く思うことがなかったのよ」
こうも話したのだった。
「だからこれからあの娘はね」
(特に悪く思うことなく」
「普通に接していけばいいのね」
「ありのままを受け入れて」
「そうしていけばいいのね」
「そうみたいよ、安心してね」
こう話してだ、そしてだった。
彼女達は実際に聖子と普通に付き合いだした、すると聖子は明奈の言う通りの娘だった。裏表の全くない。
それでだ、彼女達はこうも言った。
「もっとよく見るべきだったわね」
「そうよね」
「あの娘のこと」
「変に邪険に思わずにね」
「全くよ、付き合ってみればいい娘だったわ」
明奈も微妙な顔になって言う。
「何あの娘っていきなり思わずに」
「まずはじっと見る」
「それが大事ね」
他の娘達も言うのだった、聖子とのことは彼女達にとって大きな教訓になった。人はまずじっくり見なければわからないということを知るという。
ブリッ子 完
2015・11・19
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