第二章
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首を傾げさせつつだ、こう彼女達の間でまた話した。
「普通後輩相手に猫被らないわね」
「むしろそうしたタイプは目下にはきついでしょ」
「辛く当たるものだけれど」
「後輩相手にもブリッ子とか?」
「そんなのしないわよね」
「誰に対してもそうとか?」
ここで一人が言った。
「そういえば私達にも」
「そうよね、ブリッ子よね」
「クラスの中でも外でもね」
「登下校の時も部活の時も」
「御飯食べてる時もね」
「人前だと」
もう相手が誰でもではという意見も出て来た。
「いつもそうとか?」
「じゃあ人がいないと素が出る?」
「猫を被らずに」
「そうなのかしら」
「その時は」
「それじゃあ」
ここで一つの結論が出た、その結論はというと。
「ちょっと見張ってみる?」
「あの娘が一人の時を」
「その時はどうなのか」
「ブリッ子なのかどうか」
「そう、それじゃあね」
「一回見てみましょう」
「あの娘が一人の時をね」
こう話してだ、そしてだった。
彼女達の中からだ、一人が聖子が一人の時どうしているのかを見ることになった。そこで選ばれたのは松井明奈だった。
仲間うちの中で最も聖子についてよく思っていない娘だ、鋭い目に黒髪をウェーブにして伸ばしている。少しすれた感じのする少女だ。
その彼女がだ、仲間に言った。
「じゃあ私がね」
「ええ、お願いするわね」
「あの娘を見てね」
「一人の時はどうなのか」
「その素をね」
「普段はどうなのか」
「任せて、絶対に見るわ」
赤いアイシャドーを目立たせている大人びたメイクを施した顔で答えた、制服のスカートは長めで今風に短くもしていない。何処かカルメン風だ。
「細かいところまでね」
「ええ、それじゃあね」
「宜しく頼むわね」
「その本性を見極めてね」
「じっくりと」
「私あの娘嫌いだから」
明奈はその鋭い目で言い切った。
「とことん見てやるわ」
「あんた私達の中であの娘を一番嫌ってるわね」
「実際に」
「ええ、そうよ」
否定しない言葉だった。
「だからね」
「よく見て」
「細かいところまで」
「そしてその本性をなのね」
「暴くのね」
「そうしてやるから」
絶対にという言葉だった、そして実際に。
明奈は聖子を見張った、物陰に隠れたりしつつ。
見ればだ、聖子は。
黒髪をいつも奇麗に整えていてメイクはピンクを主体にしたナチュラルメイクでアクセサリーも可愛いものばかりだ。携帯のストラップ等も。
制服もそうした感じに着こなしている、首のところもリボンにしている。
スカートも短く靴も女の子的だ、その彼女を見てだ。
明奈は自分と合わないものを感じながらだ、その感情を消して。
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