暁 〜小説投稿サイト〜
ハーメニア
五人目のハーメニア-前編-
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「踏み込みが甘いです。あと、肩に力を入れ過ぎで、振りが大きくなっています。そんなのじゃ、当たる攻撃も当たりませんよ?」

ミクがその場から一歩も動かず、俺の攻撃を防ぐ。先程からどれだけ経っただろうか、ゆかりと交代しながらミクに特訓をつけてもらっている。特訓方法は実に簡単、マンガやアニメなどでよくある、一発当てたら勝利というやつだ。ハンデとして、ミクはこちらに攻撃をすることができない事、そしてその場から一歩も動かないということを課せられているのだが……

「第一にですね、お二人共武器の特性を知らなすぎるんです」

とは言われても、生まれてこのかた、刀なんて扱ったことないし。中学生の頃に授業で習った剣道を思い出しながらなんとか振るっているので、これが精一杯だ。

「なら私の見解ですが、お二人の武器にあった戦い方をご教授しましょう」
「頼む」
「お願いします」

そう言うとミクはどこから出したのか、メガネを取り出し掛けた。

「まずマコトさんの刀ですが。刀身がそこまで長くありません。と言うことは、必然的に敵の懐に飛び込まなければなりません」

確かに。着物男が持っていた刀と比べて、この『紲月歌』は刀身が長くない。

「普通ならばそう簡単には踏み込ませてくれません。しかし、ここはステージの上。つまりは私たちには驚異的な身体能力が付与されます」

言いたいことはわかるが……

「それって相手も同じじゃないのか?」
「はい。ならば考えるのは一つ。相手よりも速く動けば良いのです」
「なるほど。相手はいつマコトさんが加速してくるかわからない。ならば不意をついて一撃を喰らわせる、そういうわけですね」

ゆかりの言葉にミクが頷く。とは言うものの、そう簡単ではないぞこれ。

「もし相手がそれに反応出来たらどうするんだ?」
「そこは……臨機応変に対処してもらえたらいいです。とりあえず、私から言えるのはマコトさんは高速戦闘を主体としての戦いが好ましいです」

……なんだか釈然としないが。とりあえずは相手より先に動けというわけか。

「次にゆかりさんですが。なんというかその……」
「大丈夫です。言ってください、うっすら分かってますが……」



ゆかりが死んだような目で答えた。余程ショックだったんだろうな。

「えっと、ゆかりさんのそのチェーンソーは恐ろしいくらい攻撃力が高いです。しかしその代償として、重たさがマコトさんの刀の数十倍と、すごい事になっちゃってますね」
「ええ、ステージの恩恵があっても扱いが難しいです」

ゆかりがブンッと水平斬りをする。しかしその重さに耐え切れなかったのか、バランスを崩してコケてしまう。

「ですので、振ると言うよりは、置く戦いかたのほうが合っていると思います」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ