第15話 後悔
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ベルアッパーの調査を約束していた木山の元へと向かうために初春は何度も頭を下げた。
「すみません!佐天さんをお願いします。これから木山さんの所に行ってきます。もっと早くに着手していれば......」
自分がもっとしっかりしていれば
佐天が普段どんなことに悩んでいたかを把握していれば、こんな結果にはならなかった。
初春は、更に一礼すると佐天の部屋から出て行こうとするが
「ちょっと待て」
サソリが手を伸ばして制止した。
「御坂、何か包むものあるか?」
「えっ!?包むもの?」
部屋を見渡し、見つからないので台所の引き出しを開けだす。
持ち主ではないため、何処に何がしまってあるなんて把握していない。
そのため、目に入った引き出しや引き戸を開けていく。
御坂が台所を漁ると戸棚の中から食品保存用のサランラップが出てきた。
サランラップを手に取ると、適当な長さで切ってサソリに渡した。
「これくらいしかないけど良い?」
「充分だ」
切られたラップを拡げていき、何やら黒い粒を一救い包んだ。
拡がる部分を捻るように巻くと初春へと渡した。
「お前は何か術が使えるか?」
「術ってほどじゃないですけど......温度を一定に保てます」
「何かあったらそれを握って力を使え......オレに伝わるからな。絶対に無茶をするな」
「は、はい」
サソリの迫力に押されながら初春が受け取った黒い粒の入ったラップをポケットに入れる。
そして、初春は再び頭を下げて、玄関から出て行った。
ジャッジメントは、自分だけではなく他の大多数を救うことが求められる。
今こうしている間に被害者が増えているかもしれない。
自分に出来ることを見つけて行動するしかない。
友人を背に走るのは、味わったことのない後ろめたさが伸し掛かった。
だけど、自分が居たところで佐天を意識不明から助けることができない。
また涙が過る。
「いいか。この先は極力単独行動は避けろ。必ず二人以上で動け!」
「でも初春さんを一人になっちゃうわよ」
「今回は仕方ないな。オレは自由に動けないし、木山と会うにしてもオレや御坂が行ったら逆に怪しまれる。最低限のものは渡しておいたから、ある程度は大丈夫だ」
後手後手に回ってが、これからはそうはいかんぞ......
******
病室で三人で話しをしていると検査結果を知らせるために少し大柄でカエルのような老人の医師がゆっくり歩いてきた。
「ちょっといいかい?」
三人をあるモニターの前に移動させるととある波形パターンを見せ始めた。
「レベルアッパーの患者達の脳波に共通するパターンが見つかったんだよ?」
不自然なまでに尻上がりの口調だ。
「人間の脳波は活動によって波が揺らぐんだね?それを無理に正せば..
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ