第15話 後悔
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写輪眼に回す。
澱みなく眼に合わせると視力が上がり、初春の心を写し取る。
読み取れてきたのは、叫びに近い声。
佐天さん......
佐天さん!
「さてん?......!」
サソリは、顎に手を当てて思案する素振りを見せると、気付いたように前のめりになって眼を見開いた。
そして同時に思い出した。
ま、まさか......
喫茶店で佐天が持っていたレベルアッパーらしき物。
以前に聞いた、自分には能力がないという自覚。
それが意味するものは。
しまった......
普段冷静に対処するサソリだが、今回のケースでは身体を内なる悔しさから震わせた。
そして、語気を強めて御坂に言い放つ。
「御坂!早く行け!」
「えっえ!?どうしたの?」
「さっさと......行け!」
サソリのあまりの剣幕に御坂はサソリの車輪を止めると初春が上っていた階段を二段飛ばしで駆け上がった。
写輪眼によるものか不明であるが
サソリは、椅子に座ったまま項垂れた。
片腕を頭に置き、どうにかなりそうな程に強くなっていく感情のブレを抑え込む。
クソ......
完全に抜けていた
アイツが似たような物を持っていたのは見ていた
これはマヌケ過ぎるぞ
落ち着け
落ち着け
まだ打てる策があるはずだ
サソリは自分の膝を悔しそうに握る。
腕に力を入れて反動を付けて立ち上がると、壁や手摺りを頼りにサソリも御坂と初春の後を這いずるように階段を上がる。
部屋へと入ろうとする初春に御坂が追い付いた。
「初春さん!どうしたの?」
「御坂さん!?さ、佐天さん!レベルアッパーを......」
涙をポロポロと流している。
息の切らし方からして、結構な距離を走ってきたようだ。
呼吸を整えるように扉へと体重を預けた。
「えっ......嘘でしょ」
扉を開けて、二人はなだれ込んだ。
佐天は初春が来るのを信じて事前に開けておいたようだ。
カーテンが閉められている暗い部屋にあるベッドの脇に佐天はうつ伏せに倒れ込んでいた。
手の中には、先ほどまで初春と連絡していた携帯電話が力無く握り絞められていた。
意識が無くなることが分かっての数分間、いや数時間かもしれない。
どれほどの恐怖が襲い掛かってきただろうか。
何時、自分が自分では無くなるか。
それを考えるだけでこの犯人が仕掛けた残酷な装置に憎しみが募る。
能力が手に入っても、こんな仕打ちって......
御坂と初春でグッタリしている佐天を仰向けに寝かせた。
呼び掛けにも反応を示さない。
泣き腫らした顔をしている。
長い時間激闘を続けた親友を初春は、そっと抱きしめた。
絶対に起こしますからね
戻ってきてください
御坂は携帯電話を取り出して急いで病院各所
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