特訓
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、ゆかりの手から音が発現する。それはあの時感じたものと同じで、静かだが暖かさと、どこか凛としたものだった。そして、その音は円を描き、ステージを作り出す。しかし、それはミクのものとは違い、完全な透明なものであった。
「あれ?なんか私のステージ、おかしくないですか?」
「いえ、コレが本当のステージなんです。純度の高いものならば、ステージの中の時を外の世界と完全に分離させることができるんです。曇っているほどステージの純度は下がり、透明なほど純度が高いんです」
また少しファンタジー入ってきたな。今更驚きはしないが、やっぱり現実離れしてるよな。
「マコトさん、私すごいでしょう」
ゆかりがすごいドヤ顔でこっちを見てきた。確かにすごいけども、なんかそのドヤ顔はムカつくからやめてくれ。
「マコトさんは……」
「やめとく。俺はコレ以上のもの作れる気しないしな」
「そうでしょうそうでしょう。もっと褒めて良いんですよ♪」
「アー、スゴイネスゴイネー」
適当にあしらうと、少しいじけたように頬を膨らますゆかり。
「では、次ですが。響器の発現をやってみましょうか。コレも簡単、自分の音を手に集め、こいっ!でも、来てっ!でもいいのでなにか言いましょう。そうすれば発現するはずです」
大雑把だな、おい。
「とりあえずやってみましょうか。……きてください!」
ゆかりが叫ぶと、彼女の手には昨晩見た、彼女の性格からは想像もつかない物々しいチェーンソーが握られていた。
「うう、やっぱりコレですか……。もう少し可愛いのが良かったです」
「私は良いと思いますよ!だって、それで敵をバッタバッタとなぎ倒すんですよ?まるでゾンビ映画の主人公じゃないですか!?」
それを聞いてさらにゆかりが凹んだ。そりゃそうだ、フォローの方向が違うぞ、ミクさんや。そんなことよりも、俺もやってみるか。音を手に集めるようにして……
「よしっ!こい!」
………………あれ?
「出ませんね」
「マコトさん、ちゃんとやってます?」
ミクとゆかりが尋ねる。
「やってるよ!なんでだろ」
もう一回やってみるが、やっぱり出てこない。
「もしかして、マコトさん。昨日どうやって響器をだしました?」
「昨日はゆかりと手を繋いでだけど……」
「ならもう一回手を繋いで、やってみてください」
なんとぉ!また手をつなぐだと?
「はい、マコトさん」
普通に手を差し伸べてきやがった……。まぁ、もう一回繋いじゃってるから別にいいか。ゆかりの手をとる。
「こい!」
もう一度呼び出す。すると、先ほどとは違い、手に音が集まるのがわかる。そして次の瞬間、俺の手には『紲月歌』が握られていた。
「あれ
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