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ハーメニア
ハーメニア
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りますね、僕が攻めあぐねるとは」

着物男がこちらに後退してくる。あれだけの激しい剣戟を繰り広げていたというのに、汗の一つもかいていない。いや、それよりもだ。フードの中の顔が先ほどの攻撃で顕になった。その顔を見て、俺だけではなく、結月を信じられない物を見たような表情をしている。


「なんで……お前が」
「そんな……」

フードが静かに剣を下ろす。月明かりが、フードの顕になった顔を照らす。その顔は俺達が見たことがあって、昨日も一緒にいて。

「何で、ですか。そんなこともわからないとは、残念です」

俺達の友達で、大切な後輩のはずだろう?

「貴方が、私達の脅威になるからですよ。マコトさん」

「なんで、何でなんだよッ!ミクッ!」

ミクが俺のことを殺そうと?信じられない。だって、あんなに仲が良かったじゃないか。今日だって、昼飯を皆で食う約束だってしてたのに……

「ゆかりさん、貴方がそちら側だったとは。同じハーメニア同士、仲良くなれると思っていたのに」
「それは私だって!だけど、なのに……なんで!」

結月が今にも泣き出しそうな顔で叫んだ。それはそうだ、昨日だけであれだけ仲良くなった友達が、こうやっていま目の前に敵として立っているんだから。

「なんでなんでとうるさいですね。そろそろイライラしてきました。そうだ、命令はマコトさんだけでしたが、ゆかりさんもやっちゃいましょう。敵は少ないにこしたことはないですからね」

いいことをおもいついた、という風に手を叩くミク。屈伸をして、ジャンプする。

「それじゃ……行くよっ!」

次の瞬間、ミクの姿は俺達の前から消えていた。そして、次にミクの姿を俺が確認したには

「バイバイ、マコトさん」

後ろッ!?
結月が動こうとしているのが横目でわかる。
世界がスローモーションで見える。首元には一本の剣。
これを横に引かれれば、俺の首は身体から離れ、俺は死ぬ。
もう助からない。
わかっている。
だから、いっそのこと早く。

「まさか、自分が死ぬなんて思っていないだろうね」
「えっ?」

スローモーションが終わる。分かれるはずだった身体と頭は、未だ一つだ。後ろにいたはずのミクは遥か後方に立っている。一体何が起こったんだ?

「お前……何を」

着物男に向かってミクが問う。

「馬鹿なことを考えないことだ。ここにいるのが誰だと思っている?」

俺達の前に着物男が立つ。その背中は、先ほどとは違い、力強く、誰よりも今頼りになるものだった。刀をミクむかって構え、静かに言う。

「教えてやろう。この神威がくぽと戦うということが、どれだけ愚かなことかを」
「よくも言いますね。だったらこちらも本気で行きます。どちらが愚かなことか、
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